刑事盛り(でかもり)

小波ここな

第1話 不可解?連続殺人事件

 鬼刑事は東京に配属され、冷遇されていた。

 緑豊かな岡山県から、地方の東京に追いやられ、殺人事件などの調査などを専門に任され、寝る暇もないのであった。


「岡山県が懐かしいわい。桃太郎さんは元気だろうか」


 ぼやいていたら、鬼刑事は警視総監に呼ばれ仕方なく出向いた。


「何の御用でしょうか」


「きみを呼んだのは他でもない。例の連続殺人事件だが」


「わたしの専門はもっと怪奇に満ち溢れた事件なのですが」


「何を言っているんだ。この事件も怪奇に満ちた凄まじい事件だよ」


「やれと言われたらやります。向かえば良いのですね」


 鬼刑事は仕方なく事件現場に向かうため、パトカーに乗り込んだ。

 運転席には若手の警察官が乗り込みいざ発進。

 風で鬼刑事の癖毛がぴょこっと立ち、隠すために帽子で押さえた。

 若手の警察官は、岡山県から来た間抜けな鬼刑事をクスクス笑いながら、事件現場に向かい、アクセルを踏んだ。



 事件現場に着いた鬼刑事はうなりながらウロウロ歩き始めた。

 うなり声が鬼に似ているのだなと他の警察官は感じた。


「すまん。腹が減ったな」


 唐突に空腹を訴えた鬼刑事。


「何か買って来ましょうか」


 警察官に鬼刑事が言う。

 

「カツ丼がいい。デミグラスソースのな」


 事件現場の警察官が苦笑しながら鬼刑事に言った。


「パンぐらいならありますよ」


「わたしの頭を働かせるにはデカりのカツ丼が良いんだ。デミグラスソースがたっぷりかかった奴がな」


 事件を総括している刑事が呆れたこの鬼刑事に、何のために来たんだと一喝した。


 鬼刑事はしばらく付近をぶらぶら•••ぶらぶら•••うろついて、総括にたずねた。


「岡山県の桃太郎像はどの方角にありますか?」


「何を言っているのかわからないな」


「わたしの捜査方法は岡山県の桃太郎像が必須なのです」


 結局この連続殺人事件は迷宮入りになり、未だ解明されていない。

 真実を知るのは、風に吹かれて立った、鬼刑事の癖毛だけが犯人を特定した。


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