SCP-006-JP-orig 「痛いの痛いの飛んでいけ」

アイテム番号:SCP-006-JP-orig


オブジェクトクラス: Euclid


特別収容プロトコル: SCP-006-jp-orig(以下SCP-006と称する)は、質素な家具と浴室が備わった2部屋の独房に収容され、1日に3度の食事を職員用の食堂で食べさせてください。また、SCP-006-1の周辺で誰かが怪我をした場合は、気づいてない時は誘導し、気づいてる場合は怪我をした対象を即座に見えない場所へ移動させて下さい。


説明:SCP-006は1■歳の日本人の少年で、近くにいる怪我人をSCP-006-1が介抱して起こる異常の事をさします。SCP-006-1が怪我人に駆け寄って「痛いの痛いの飛んでいけ」をした際、怪我人以外のおまじないを知らない人間にのみSCP-006を見ることができ、これは後々その仕草の意味を知っても見えるようです。

 SCP-006は赤く発光しており、放物線を描いて地面や生物(これをSCP-006-2とする)へぶつかると、SCP-006-2は怪我や損傷の有無に関わらずぶつかった箇所に痛みを訴えます。無機物の場合は、そこだけ痛みの程度や範囲に伴って脆くなります。


補遺006-1:SCP-006は■■県にある■■■村の交番で警官職員に扮していたロシア人とのハーフの財団職員が発見しました。その財団職員は日本国籍だが幼少期はロシアに住んでおり、おまじないを知らなかった事で発見できました。

 交番前で転んだ少女を当時小学生だったSCP-006-1がをして「飛んでいけ」の時に光が見え、職員ではない同僚に聞いて見えてない事が発覚し保護、収容に至りました。


インタビュー記録:

 このインタビューは発見時から1っ週間後のSCP-006-1が予防接種の際に行われ、彼の母親には別室で待ってもらいました。

 インタビューは■■■■博士により行われ、SCP-006-1の効果を確かめる為、自身に怪我をさせた状態で行いました。

<記録開始>

■■■■博士:初めまして、__君。今日はね、君に聞きたいことがあって。

SCP-006-1:そうなの?何か悪いとこでもあったの?

■■■■博士:あぁいや、まだ結果がでてないのもあるけど、概ね健康だったよ。今回は別の事で来たんだ。その…ったた…。

 ――■■■■博士が腕を痛がる素振りをすると、SCP-006-1が立ち上がる。

SCP-006-1:えっ、大丈夫?怪我してるの?

■■■■博士:あぁ、数日前にメスを滑らせて腕を切ってしまってね、ここは涼しいから冷えて痛みが出たみたいだ。大丈夫だよ。優しいんだね。

SCP-006-1:別に…って、血が…!

■■■■博士:傷口が開いてしまったみたいだね…痛いけど大丈夫だよ。この質問とかが終わればすぐに処置するから。

SCP-006-1:痛いんじゃん!今処置して!

 ――SCP-006-1により簡単な処置を行う。

SCP-006-1:ん、もう怪我放置しちゃ駄目だよ。

■■■■博士:あぁ、ごめんね。結局まだ痛いし、急がなくてもいいかと…。

SCP-006-1:なら僕がおまじないしてあげるよ!痛いの痛いの~飛んでいけー!

■■■■博士:!…すごいね、痛みがなくなった…

SCP-006-1:へへ、凄いでしょ、おじいちゃんのお墨付きなんだよ

■■■■博士:おじいちゃんにもやってあげたの?

SCP-006-1:うん!腰が痛いって言ってたからやってあげたら、演技でも治った振りして農作業まで始めようとしたから、止めるの大変だったんだよ。

■■■■博士:昔から、色んな人にこのおまじないをやってきたの?

SCP-006-1:色んな?ん~、お母さんとかにはやってるけど、普段そんな怪我する人いないし…僕より小さい奴にはやってるけど、同級生とか上級生にやったらからかわれるだけだからやってないよ。

■■■■博士:全員が痛くなくなったって?

SCP-006-1:うん、振りってわかってるし無理やり笑わせてるってわかってるけど、痛くて泣いてるよりはそうしてくれた方がいいのかなあって。

<記録終了>

 これによりSCP-006-1をSCPとして認定し、家族にはインタビューの後事情を説明し家族を財団職員として採用、料理人や荷物運び等危険度が低レベルの仕事につき、SCP-006-1との接触は許可されています。



 補遺006-2:SCP-006-1におまじないを言わせ、SCP-006-1の異常性が誰にでも発揮されるのか、どんな条件でSCP-006を見れるのかの実験をしました。

 これには十数人のDクラス職員を動員し、古傷や四肢の欠損、視覚や頭痛等様々な痛みを抱えた者を選びました。これはその時の録音記録です。

<録音開始>

SCP-006-1:え、この人達全員…?…わざとじゃない、よね?

■■■■博士:殆どは偏頭痛や古傷だし、怪我人も作業中に軽傷を負った人達だよ。そういえば、おまじないは全員に同時にはできないのかい?

SCP-006-1:無理でしょ…それに、治すんじゃなくて痛みを飛ばすだけだからね?

<録音終了>

 これにより、古傷や幻痛、偏頭痛にも有効とわかりました。更に、SCP-006が見える職員による撮影の試みも行われましたが、いずれも失敗に終わりました。

 SCP-006が見えた人物に話しを行ったところ、いずれも事態を知らないということが判明し、またSCP-006を人体にぶつけるとぶつけた場所から怪我の範囲だけ同じ痛みを感じるということが判明しました。



 補遺006-3:補遺006-2で使用した部屋が天井から崩落するという事故が発生し、詳しい調査を行うと著しい経年劣化をしていたことがわかりました。

 SCP-006にをさせた後、SCP-006が飛んでぶつかった壁を調べると怪我の範囲だけ著しい経年劣化を起こしていることが判明しました。



SCP-006-1:…痛みってさ、体の危険信号なんだって。時々バグが起きる時もあるけど、そんな重要な役割のを感じさせなくするって、いい事なのかな。

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