第26話暗黒打倒の旗揚げ
イギリスを自分の支配下に置いたジャンディーナドルクは、さらに領域を広げようと奔走していた。
「ふふふ、ドイツはあっさり私に味方し、フランスはもうすぐ陥落。ノルウェー・フィンランドも私の支配地。このまま、ヨーロッパを全て支配していずれ全ての人類を滅ぼしてやるわ。」
「やる気充分だ、だがアゴノはこの瞬間にもおれたちを対策するための準備を、着々と進めている。こちらもさらなる強化が必要だ。」
「なに言っているの?強化ならもうやってるじゃないの。我らが支配する人を増やせば、他人の命を大切にするアゴノのことだから、下手に手を出せないわ。」
ジャンディーナドルクは余裕の表情で答えたが、ドルクスはやれやれとため息をついた。
「ヴッ・・・、まだ馴染めてないわね。」
ジャンディーナドルクは自分の右腕に痛みを感じた、ナイツ・キングスピリッツと融合したことによって大きな力を得たが、まだその力に体が馴染めていない。
だがジャンディーナドルクは、この力があれば理想を叶えられると確信している。
「それよりも、アゴノの様子はどうなのかしら?」
「今のところ大きな動きはないが、いつか何かしてくるのは間違いない。」
「そうよね・・・、だから早いうちに叩いておかないとマズイわね・・・。あっ、いいことを考えた。」
ジャンディーナドルクはアゴノをアッと驚かせるために、ある作戦を思い付いた。
「それは大胆だな・・・、まあアゴノが何かしでかす前にやっておくのもいいかもな。」
そしてジャンディーナドルクは、アゴノを徹底的に攻撃する作戦を立てたのだった。
一方、こちらは小牧の某所にある秘密基地。
だが秘密基地の前では、二十人の人だかりが秘密基地へ石を投げて、怒声をあげていた。
「出てこい、アゴノ!!」
「お前が世界に異常現象を引き起こしている元凶だということは、わかってんだぞ!!」
「大人しく未来へ帰れ!」
だがアゴノはそんなことはどこ吹く風で、秘密基地の二階の窓から人だかりを見下ろしている。
「アゴノ様、あいつら追い払いますか?」
アリゲーターナイトが尋ねた。
「いや、無視すればいい。あいつらの正体はすでに把握している。」
「えっ、一体何者なんですか?」
「あいつらは刹那とドルクスがネットに書き込んだ、私を陥れる言葉につられて集まってきた連中だ。もし秘密基地を攻撃されたらこちらもやるが、今のところは問題ない。」
「かしこまりました、ですが刹那とドルクスたちはますます勢いづいています。いづれはここへ強力な戦力を連れてやってくるでしよう。」
「そうなる前に、こちらからやるしかないよな・・・」
するとそこへ、来馬がやってきた。
「大変ですアゴノ様、もう後一時間で戦闘ヘリがやってきてここを攻撃するという、脅迫メールが届きました!!」
「なんだと!!」
「しかもなぜか五十万人の若者たちが、こちらへ攻めてくるという脅迫メールも来ました!!」
「五十万人も!?いつの間にそんな集まったんだ?」
「どうします、アゴノ様?」
「とりあえず、身構えておこう。全員に準備するように伝えよう。」
アゴノは下僕たち全員に、身構えるように指示を出した。そして十分で、戦闘態勢が整った。
「さて、何が起こるのやら・・・。」
そして三十分後、野木からの電話がかかってきた。
「もしもし!?今、秘密基地の近くにいるけど、ものすごい人が集まっている!!しかもバットやスコップにライフルまで持っているやつもいる、これはかなりヤバイ事態だよ」
「知らせてくれてありがとう、私なら大丈夫だ。」
アゴノは電話を切って玄関を開けた、すると目の前に大勢の人が集まって中へと入ろうとした。
『タイフーン・フープ』
すると台数並の強風が、大勢の人たちを巻き込んで吹き荒れた。
そして風が止むと、二十人の人が地面に落ちた。
「お前らは、そんなに大勢集まってなにをしようとしている?」
アゴノは冷徹な目で人だかりに問いかけた。
「おい、遊撃隊の秘密基地に十億円があるんだろ?その十億円を全部渡したら、見逃してやるよ。」
「さあ、十億円渡すか戦うか選べ!!」
「十億円・・・?そんなに金持ってないけど・・・、ああ、でもパワー・ストームの力があればそんなはした金すぐ用意できるがな。」
アゴノは思わせるようなことを言った。
「何だと!?おれに使ってくれ!!」
「あっ、ずるいぞ!!おれが先に使うんだ!!」
「俺が先だぞ!!」
人だかりはアゴノから我先に金をもらおうと争いだした。
「まあまあ、お前ら一人ずつに十億円渡すこともできるよ。さあさあ、並んで。」
アゴノは人だかりに言うと、人だかりはきちんと整列した。
そして最初の人がアゴノから十億円を受け取ろうとした時・・・、その人は一万円札になってしまった。
「はい、一万円ゲット~」
「おいおい・・・、おれたちに十億円ずつあげるんじゃないのかよ?」
人だかりは全員青い顔でアゴノを見た、アゴノはこう答えた。
「あー、それよりもお前らを一万円札にしたほうが利益になるから、そうすることにした。お前ら五十万人もいるから、五十万円儲けられるな・・・。下僕共、こいつらを一人も逃さずに捕まえろ!!」
アゴノが言うと下僕たちが飛び出して、人だかりたちは慌てて逃げ出していった。
「それ以上追うな、これでいい。」
アゴノと下僕たちは秘密基地へと戻っていった。
それからアゴノは一万円札を元の人間の男に戻して、事情を聴くために下僕たちに尋問させた。
それによるとこの男は「遊撃隊が極秘の軍資金・総額十億円を持っている。」というネットの書き込みを信じ、なんと石川県からわざわざやって来たそうだ。
「で、その書き込みをしたアカウント名はわかるか?」
「はい、『ブラック・ジャスティス』というアカウントです。」
「そうか、教えてくれてありがとう。」
そう言うとアゴノは男に一万円を渡して、「これで石川へ帰れ」と言った。
男が秘密基地を後にすると、アゴノはパソコンを動かして『ブラック・ジャスティス』というアカウントを覗いてみた。
「はあ・・・、これまた清々しいほどのアンチだな。」
「これは酷いですね・・・。」
「うわ、遊撃隊が核ミサイルを持っているというのもある。」
「買春に裏仕事への斡旋、その他にも非人道的行為の数々・・・。他にもっとマシな書き込みはないのか?」
「これは完全に私たちへの攻撃用に作られたアカウントだな、これで私たちへ対抗するための戦力を集めるという魂胆だろうな。」
するとまた野木から電話がかかってきた。
「さっき、私の上空をヘリコプターが通過した。しかも戦闘ヘリだ、アゴノの基地へと向かっている!」
「了解した。」
アゴノは秘密基地の屋上に上って空を見た、すると戦闘ヘリが十台並んでこちらへ向かってくるのが見えた。
「ふぅ・・・、爆破するのも面倒だ。ここから失せてくれ。」
するとアゴノは戦闘ヘリに暗示をかけた、すると並んでとんでいた戦闘ヘリは、それぞれデタラメに動き出してどこかへと飛んでいった。
「ドルクス、ジャンディーナドルク。これがお前たちの意志だというのなら、私は全力で止める。そしてジャンディーナドルクを、必ずもとの刹那・・・ライフに戻して見せる。これよりわが遊撃隊は、ジャンディーナドルクの討伐・救助作戦を決行する。総員、戦闘開始だ!!」
アゴノは堂々と宣言した、そして下僕たちは「オーッ!!」とそれに答えた。
そして暗黒を打倒する決戦が、今巻くを開けた。
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