第34話 えっ?ソコっ?!

 むかし、うちに手のかかる甘ったれの構ってちゃんワンコがいました。

 お散歩も家族以外の人間も他のワンコも嫌いでしたが、何故かボール遊びだけは好きでした。

 よく、渋るワンコをお散歩に連れ出しては、広場に向かい、そこでリードを離してボール遊びをしたものです。


 ある日、母がボールを投げる担当に。


「行くよ!」


 その一言で、ワンコは全速力で遠くまで走って行き、ボールが飛んでくるのを今か今かと待ち構えています。

 そして。


「えいっ!」


 母が投げたボールに・・・・ワンコはしばし、目を丸くして呆然としていました。

 まるで、


 ”えっ・・・・ソコっ?!”


 と言わんばかりに。


 その表情に、わたしは大笑い。

 ちょうど、近くで工事をやっていて、休憩していた工事の方々からも笑い声が。


 そう。

 母はボール投げがヘタクソなので、投げたはずのボールはすぐそばに落下し、点々と転がっていたのです。

 それでも。

 ワンコはその場からダッシュでボールまで駆け寄り、咥えて母の元へとボールを持って帰ってきます。


 ・・・・母はエラい恥ずかしかったようです(笑)


 そりゃ、そうよねぇ。

 でも、ついに母のボール投げは、上手にはならなかったのよねぇ。

 残念(^^;

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