第33話 スパンコール付きセーターの末路

 むかし。

 うちに、賢いワンコがいました。

 手のかからないワンコで、お気に入りの玩具で大人しく一人遊び(一匹遊び)?をしているコでした。

 その日も、そのコは一人で大人しく遊んでいました。


 数時間後。


 外出先から帰宅した祖母が部屋に入るなり叫び声をあげました。


「なによこれっ!」


 母とわたしが、何事かと慌てて祖母の部屋まですっ飛んでいくと。

 そこには・・・・


「あ~・・・・」


 無残にも、全てのスパンコールがむしり取られたセーターと、周りに散らばる無数のスパンコールが。

 なんと、ワンコはセーターからチクチクとひとつずつスパンコールを取り外して遊んでいたようです。


「ま、そんなところにセーター放り出して置く方が悪いよね」


 母とわたしはそう言い残し、呆然としている祖母を置いて部屋を出ました。


 そう。

 ワンコは何も悪くない。

 そして。

 よく食べなかったね、スパンコール。

 偉いぞ!

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