手段

クロはシロが学校へ行った隙を見計らって必死に背伸びやジャンプをして鍵を開ける。

色々食べてこられたお陰で少しだが身長が伸びている。


「これで...できる。」


クロはシロに振り向いてもらうためにシロにとっての悪いことをする。

シロとアカの仲を割いてやるのだ。


クロが狙うはシロのパソコンで見た金さえ貰えば何でもするという便利屋。


クロは人間ではないから初めてパソコンを見た時には何だこれと思ったけれど、シロが使っているのを何となく見ているうちに覚えた。

あらゆる場合に備えて様々なことを調べてある。


⚪︎情報屋をしている人物

⚪︎便利屋をしている人物

⚪︎模範囚として釈放された凶悪殺人犯

               など。


その気になれば良い方にも悪い方にも大きく動く存在を色々と。


そして目をつけたのが二番目だった。

便利屋は人探しなどは勿論のこと、本当に何でもする様子で一度殺人を犯して逮捕されている。

以来、活動に制限はされているものの、

シロの犯行の映像を警察に流してもらうことは警察にとってもメリットのあることであり、制限された活動の中でも可能な依頼だ。


便利屋の電話番号や住所を調べ、それに従って事務所まで跳んで行く。


「失礼します...。」


「おやぁ、君みたいに可愛い若すぎる子が何の用だい?変な依頼は受けられないけれどぉ?警察の監視下だからね。」


子供の前でこんなことを言ってしまう辺り、

ネジは外れているのだろうな。


「実は、お金以上にお互いにメリットのある依頼でして。勿論お金も出します。」


「本当かい!?それは是非とも聞きたいね」


予想通り食いついた。


「警察にとある少女の殺人を話して欲しいんです。その際、その映像を提供した人物や依頼主のボクの正体がバレないように。」


フジやシュは行方不明届けが出されているから、映像提供があればシロに容疑がかかることは間違いなしだ。


「映像を多少書き換えて、君のことを言わなければいいんだねぇ?適当に映像提供者は僕の仲間の名前を言っておくよ。」


「事件は室内なのですが出来ますか?」


「出来るとも。方法は企業秘密だけれど、

達成して見せよう。それで?メリットというのは?」


「それを警察に出せば、社会の治安維持に少しは貢献できたことになるかもしれない。

だから、警察の監視が緩くなる可能性があります。」


「確率低くない?その犯人に逃げられでもしたら僕治安維持できてないし、そもそも殺人って言ってる時点で被害者死んでんじゃん。」


「それでも、やらないよりは確率があります。

もっと確率の高い物なら、よりスリルも大きくなる。今仕事がセーブされてしまっているうちに細かくでも信頼を取り戻そうとは思いませんか?そっちの方がリスキーじゃないと思うんですけど。」


「君、頭いいねぇ。」


「いえいえ。それほどでも。」


「明日、その映像を持っておいで?

明後日までには通報してあげよう。」


「有難う御座います。」


交渉は成立した。

あとは、アオから映像を貰えばいい。


これが例えシロにとっての罪だとしてもいいと思えた。

だって、シロのためだって思ってるから。

シロをアカみたいな奴から救うためだって思っているから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る