アカとアオ

「これは...盗聴器。」


黒く四角い小さい物体をみてシロはそう認識した。


これが盗聴器だとすれば、かなりまずいことになる。

クロとのやり取りとフジ殺害の真実を誰かに聞かれていたことになるからだ。


「これの主を殺さなきゃ。

それを明日のクロの晩御飯にするの...。」


その決意を声に出したのには理由がある。

これを聞けば盗聴器の犯人が脅しにでも来てくれるかもと思ったからだ。

犯人がわからない以上、向こうから来てくれた方が望ましい。


挑発するくらいが丁度いいんだ。


「大丈夫...です?」


「あ、うん!大丈夫だよ!

心配してくれてありがとう!」


「シロ...会った時よりずっと優しくなったです。好きです。」


「ありがとう!敬語...使わなくたっていいんだよ?クロ。」


「う、うん。じゃあそうする...!」


クロは少し頬を赤らめてうなずく。


「明日もちゃんとご飯取って来れそうだよ。」





翌日...学校にて。


「おはよう!シロ!」


「おはよう、アカ。」


ガラガラ...。

教室の古めの扉が開き、担任の銀城輝羅ぎんじょうきらという凄い名前の教師が入ってきた。


いつもだったらもっとギリギリに来るのに、

まぁきっとフジの件だろう。

殺されたとはバレてないにしても、行方不明とは騒がれただろう。

昨日、一回家に帰った後にいなくなったのだから学校に言うことなのかとも思うけれど。


「皆に報告がある...。

知ってる者もいるかもしれないが、我がクラスの藤山香澄さんが昨晩から行方不明になっている。連絡が取れる者は取ること。

そして、何か知っている者は遠慮なく先生に

言うこと。」


それ以外特に情報も無かったらしく、

朝礼はそれで終わった。


「怖いね、シロ。」


「シロがフジの連絡先を交換したのと関係があるのかもな。」


アオがチラッとシロを見ながら言った。


「フジとは少し話したかっただけなんだけど、

昨日交換したのが間違いだったかな...」


「なぁシロ...」


「何?」


「フジのことで話がある。」


耳元でアオにそう言われ、シロは睨みで返した。



放課後...


アカとアオはシロの家まで着いてきた。

家へあげるとクロがお茶を淹れて出迎えた。


「いつ覚えたの?」


「お茶...シロが飲んでるの見たから。」


「この子は?」


アカが尋ねるとクロはてけてけとアカの前まで出ていきぺこりとお辞儀をする。


「クロっていいます。」


「あ、アカです。ご丁寧にどうも〜!」


「そんなことより、フジを殺したのお前だろ?シロ。」


「どうしてそれを確認するの?」


「喋る気はない。盗聴したのは謝る。」


「私がシロのこともっと知りたいって言ったの。それでアオが夜忍び込んで仕掛けてくれたの。」


「そう、公言しないってことは信じるよ。

貴方達の盗聴だって犯罪だから、バレちゃいけないでしょ?」


「「そういうこと。」」


「それで?二人は何をしたいの?」


「殺してほしい人がいるの。私たちのために。」


「それが理由で私に近づいてきたのね。」


「違うの!一緒にいたかったのは本当、

だってシロが人を殺したのは私と会ったあとでしょ?」


「まぁ、そうだけど。」


「殺人鬼だって知って、頼もうって思った。」


「殺して欲しい人って?頼みの内容によるけど。」







   「私のお兄ちゃん...赤宮朱色あかみやしゅいろ。」

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