第6話 もはや制御不能!?

 放課後。


 いつも通り、僕の家には……


「でさ~、まーくんが買って来てくれたゴム使って、かれぴとパコッたんだわ~!」


「で、どうだったの?」


「まあ、気持ち良かったよ~。ていうか、あれ、麗美が選んでくれたんしょ?」


「そうそう。真尋が困っていたから」


「麗美さんは優しいですね」


 3人の美少女がたむろしていた。


「はい、ジュースお待たせ。えっと、市野沢さんは、水で良いんだよね?」


「ええ、ありがとう、真尋」


 受け渡す際、軽く指先が触れてしまった。


「「あっ……」」


 お互いに声が重なってしまう。


「ん? どしたの?」


 前島さんがストローで飲みながら言う。


「い、いや、何でも……」


僕が慌てて誤魔化す一方で、市野沢さんは何だかチラチラとこちらを見て来た。


「はぁ~……てか、まーくん」


「えっ?」


「おっぱいマッサージしてよ、この前に言ったでしょ?」


「いや、それは……」


「ほれほれ~、あたしのロリ巨乳欲しいっしょ~?」


 前島さんは両手でご自慢の胸を持ち上げて誘って来る。


「そ、そんなこと言われても!」


「ほれほれ~♪」


 たぷぷん♪ たぷぷん♪


 魅惑の2つの巨大な果実が僕を誘って……


「ゆかり」


「ほえっ?」


 市野沢さんが水の入ったコップを置いて言う。


「彼氏に揉んでもらった方が、気持ち良いわよ。私もそうだったし」


 さらりとした口調で言う。


 僕は少しばかり、言葉に詰まった。


「まっ、それもそうだね~」


 前島さんは胸から手を離した。


 またソファーにもたれかかる。


「まーくん、ジュースおかわり!」


「あ、はい……」


 空のコップを受け取りつつ、僕はチラと市野沢さんを見た。


 彼女も僕の方を見て、どこか意味ありげに微笑んでいた。




      ◇




「いや~、今日も快適だったよ~、またね~!」


 3人の美少女たちは帰って行く。


「……ふぅ」


 僕は1つ息を吐くと、玄関ドアを閉めた。


 さて、これからまた片付けて、夕飯の支度をして……


 ピンポーン。


「んっ?」


 僕は玄関の方に戻り、ドアを開けた。


「あっ」


「……えへへ」


 市野沢さんがそこにいた。


「ど、どうしたの?」


「……わーすれもの」


 ツン、と鼻先をつつかれる。


 その指先がツツ、と下の方に行って、僕の唇に触れた。


 柔らかくも、有無を言わさぬ力を感じる。


 ゆったりとした指の動きで、ツツと僕は後退する。


 市野沢さんがドアを閉めた。


 ご丁寧にカギまでかけてくれる。


 僕は言葉を発しようにも、彼女の指先で押さえられているから。


 何も言えず、ただ鼻息を鳴らすばかりだ。


 ちょっとばかし、恥辱ちじょくを覚えるような……


「……マッサージ、して? ほら、ちゃんと予約してあるでしょ?」


 ようやく、指を離される。


「あの、他の2人は……」


「大丈夫だから」


 そのまま、なし崩し的にリビングへと入る。


 市野沢さんはソファーの方に向かう。


 けど、なぜかうつ伏せではなく、仰向けに寝転がった。


「えっ?」


「……ゆかりのおっぱい、揉みたかった?」


「はっ? いやいや、そんな……」


「ごめんね、ちょっとヤキモチ焼いちゃったの」


「ヤ、ヤキモチ……?」


「まずは、ゆかりの前に……私のおっぱい揉んで良いよ?」


 少し頬を赤らめながら言う市野沢さん。


 当然、僕はそれをすんなりと受け入れる訳にも行かず、


「お、落ち着こうか」


「私は落ち着いているよ……ううん、嘘。いますごくドキドキしている……」


「か、彼氏さんに悪いって言うか……」


「良いの、彼のことは……いま、私の目に映っているのは……真尋だけだよ?」


 ゴクリ。


 いや、待て、僕。


 いくらこんな据え膳みたいな状況だからって。


 彼女には恋人がいる訳で……


「……私の胸、嫌い? ゆかりほど大きくないから」


「そ、そんなことはない……けど」


「けど?」


 寝そべったまま、甘えるような口調で言う市野沢さん。


 普段、大人びている彼女がそうする分、破壊力が凄まじい。


 童貞たる僕の思考力なんて、一瞬にして吹き飛んでしまいそうだ。


 いやいや、待て待て、落ち着け。


 ここは深呼吸をして理性を……


「はぐっ!」


 ここで僕は、己の迂闊うかつさを呪った。


 女の子は基本的に良い匂いがするけど。


 可愛い女子ともなれば、それはまた格別だ。


 ましてや、目の前に横たわる彼女はモデル女子。


 漂う色香が……半端ない。


 それを思い切り吸い込んでしまったことで、僕の思考回路はイカれてしまう。


「ぐぐぐ……」


 よ、欲望が、抑えられなく……


「……ねえ、私のおっぱい、揉んで?」


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……


「……むぐっ」


 チーン。


 あまりの興奮に、僕は意識を失った。




      ◇




 ハッと目を覚ますと、僕はソファーにもたれかかっていることに気が付く。


「い、市野沢さんは……」


 キョロキョロと見渡すと、僕以外に誰もいない。


「あっ」


 目の前のテーブルが、きれいに片付けられていた。


 そして、一枚の紙が置かれている。


『真尋へ


 次はちゃんと、揉んでね?

 今回の分、上乗せで。

 覚悟しておきなさい。


 麗美より』


 その文面を読んで、僕は軽くパニックになる。


 そして、ふとスマホが光っていることに気が付く。


 何とそこにも、市野沢さんからメッセが届いていた。


 しかも、添付ファイル付きで。


 僕はそれを開く。


「……げっ!?」


 何とそれは……僕と彼女のキス写真だった。


 正確には寝ている(というか気絶していた)僕にキスをしつつ自撮りをする。


 市野沢さんの写真だった。


 ていうか、ツーショット……


『これ、待ち受けにするから♡』


 僕は開いた口が塞がらなかった。







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