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あれから色々喋った。
僕がその場にいて聞いて良いのか分からなかった事も話していたけど、とりあえず話し合いが一段落ついた。
僕が結局やる事は、ローズを地球に連れていって一緒にいろんな所を巡る事だ。
「理由?親が娘に自分の生まれた世界を見せてあげたいと思うのは当然でしょ?」との事らしい。
彼女自身も世界を旅した事があるらしく、同じ景色を見て欲しいらしい。
まぁ僕も旅したいから同行者が増える分には良いんだけどさ。
「あ、宿の事は任せておいてね。帰ってくるのは満足してからで良いから。」
空間が元に戻る。
配信画面を見ると大量のコメントが流れ込んできた。
目を見開いて見てみると何を書いてるかは大体わかった。
もちろん、遺族からの非難はあったけどそれよりも沢山の心配する声やネタで言ってるけど実は焦ってたという声もあった。
「…ありがと。」
言っておくが、別に配信される事を望んでいる訳じゃない。それでもこうやって心配されたり気に掛けられたりするというのはなんやかんや嬉しいのだ。
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『ごめん、なんかあった?』
逆に何があった?
ほんまそれ
配信中断とかになってたで?
『魔術関連って事で。俺もよく分からん。なんか地球であったりした?』
分からんのかい
また魔術かい…
あったで
なんかお前、『例外』になるってさ。
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話によると、転移者を精神的、能力的危険度で分けるという。
それが今二段階あり、『普遍』と『例外』らしい。
ほとんどは『普遍』だが、『例外』は八人いるらしく、そのうち五人は日本人らしい。まぁ、日本人らしいと言えば日本人らしいな…
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『ちなみに例外に分けられたらなんかあんの?』
とりあえず転移者は全員保護される。
後、まだ誰も帰ってきてないで
例外は分からん
一応危険人物扱いらしい
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うん、とりあえず保護は何か嫌な予感がするし、捕まらないようにしながら地球で旅をしよっか。
「それで?いつ地球に行くの?」
ローズが予定を確認しに来た。先程の拳は痛かった。できるだけ逆らわないようにしよう…
「ローズの準備ができたら。明日にする?」
「いえ、五分。いや、三分待ちなさい。用意するわ。」
何処の大佐か?つか荷造りだぞ?いけんの?
「あ、これ拡張カバンね。これはスキルロールとポーション。路銀にしてね。
後、食料と寝袋とか。」
「拡張カバン?」
「まぁ、あれよ。200キロ入る○次元ポケットってやつ?」
あーなるほど。理解した。
「わかった、ありがとう。それでスキルロールって?」
「開くとスキルが得られる書物よ。スキルは『鑑定』よ。ちなみに元々得ているスキルだった場合、スキルがレベルアップ。もしくは進化するわ。」
「進化?」
「ええ、鑑定だったら解析とか分析とか。人によって変わるわ。」
マジでタメになるメアリー教室は視聴者達にも大きな驚きを与えた。いや、すごいっすね。
「用意できたぞ?」
作業着から外に出る格好に着替えたローズは何も荷物を持たずに部屋に入った。どうやらアイテムボックス持ちらしい。
ローズがメアリーに抱きつく。二人から薔薇の香りがした。別れの時だが、またいつでも会える。だが、旅は旅だ。何が起こるかなんて神様だって分からないんだから。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
メアリーと目が逢う。
言葉にしなくても分かった。
任せろって。後でローズに関するメモも貰った。地球での旅をローズと一緒に楽しんでいくよ。
「じゃあ、行ってきます。」
体が光に包まれる。
ローズを指名し転移者にした瞬間、僕たちの体は世界から消えた。
目を開けると其処には青があった。
転移先は地上より上で大気圏よりしたで物質が重なっても大丈夫な場所に転移する。そのため壁の中に転移なんて事はない。ちなみに転移したら三分間は転移できないという。
話は戻るが、もう一度言おう。
其処には、青があった。
息苦しい。肌は寒いのに摩擦で寒いのか暑いのかよく分からない。
ローズに至ってはパニックを軽く起こしていた。
すぐさま錬成と創造で地上と同じ状態の空間を体の周りに纏わせてローズを落ち着かせる。
「大気圏ギリギリとかやばすぎだろ。…まぁ、いっか。」
パニックが落ち着いた僕たちは地球を見る。
綺麗だ。
戻って来れないと思ってた。そのせいか、地球を恋しく思った。
あんまり恋しくなんて思わなかったくせに。
「綺麗…」
ローズの思わずが口から溢れた。なんか嬉しく思う。
だって、自分の故郷が好意的に思われたのだから。
「あれが、僕の住んでいた惑星。地球だよ。」
「チキュウ…青いな。」
昔のお偉いさんも地球は青いだとか言ってたけど、これはまさにその通りだな。
「ただいま。僕は帰ってきたぜ?」
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