ノウル

「え?だれ、ですか?」


「そんな怯えた顔するな。ノウルだ。お前が付けてくれた名前がちゃんとあるぞ?ん?信じられないか?そうか、これで分かるか?」


ボフンッと音がなって、男の人が居たところに、ノウルが居た。


いつも通りのノウルだ。


『我のことをきちんと見ていろ』


ノウルがボソボソと何かをつぶやき始める。少しずつ、体が薄れていき、ノウルがいる場所に魔法陣が浮かび上がる。


「え?え?だいじょうぶなの?」


『わぁ〜!ノウル、擬人化使えるようになったの?すごいなあ、羨ましいなぁ』


ルフラが目を輝かせる。僕は魔法を使う所を見るのは初めてだから、びっくりしていると、ノウルが男の人になった。


ノウルと一緒の真っ白い乱雑に切られた髪に細長い目、群緑の瞳、少しだけ不機嫌そうに寄せられている眉。


なんか、イメージ通りと言うか、雰囲気から俺様、という感じが出ている。


「うわあ、おれさまだね」


『本当だ!俺様だ!』


「お前ら、我のことをバカにして、捨てられたいのか?」


『「ふぇっ!?それはさすがに!」』


ノウルが絶対零度の目を向けてきて、二人で必死に否定する。


「くくくっ、それは嘘だ。さ、ルフラ子犬になれ」


『なんで?』


「運びにくいからな。街に入るんだったら、子犬のほうが良い。ちづきのことも抱っこしなければならないから、出来るだけ軽くなってくれ。あ、子犬じゃないか。子狼?とでも呼んでやろうか?」


『むうぅう・・・!ええ・・・まあ、いいけどさあ・・・』


ルフラはブツブツ言いながらも、小さくなった。


ぽちゃっとなった姿がすごく可愛らしい。


「よし、行くか」


と、ノウルのよっこいせ、という声とともに僕の体が浮き上がる。


「うわわっ」


『ひえっ』


隣を見れば、僕もルフラもノウルに抱きかかえられたみたいで、ルフラはきゅーん、きゅーんと不安そうに鳴いている。


僕は右腕に乗っかった状態だから、ノウルの首にひしっとしがみついた。


「あ、忘れてた。」


ノウルの髪色が星に照らされた夜空みたいな濃い紺色になった。


「えっ。髪色って変えられるの?」


「そうだ。でもな、失敗すると一生そのままだから、そんなにオススメはしない」


「さあ、行くか」


ノウルの声とともにノウルが歩き出した。


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目覚めると四匹の大きな獣さんに囲まれてたのでいっぱい満喫しようと思います! 炎猫幻 @enbyou

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