ケンソーク家

『おい、起きろ』


『失礼になってしまいます』


『ねえ、お昼だよう』


『とても美味しいご飯が待っているぞ?』


「ん~~?どうしたのぉ?」


皆に呼びかけられて起きると、知らない人の顔が四人あった。いや、正確には三人で、金髪の人がそのうちの一人だった。


「ひっ。だ、誰ですか?」


僕は今、金髪の人に横抱きにされている状態だった。金髪の人は椅子に座っていて、女の人がそれに寄り添うように座っている。


男の子と女の子は立って僕の顔を見つめていた。


「あ、僕はアンルシア。よろしく、ちづき。アルシアでいいよ。アンルシアでも別にいいんだけど・・・僕はアルシアって呼ばれたほうが嬉しいなあ・・・・あ!お兄ちゃんでもいいよ!」


いきなり、しょぼんとしたり、名案っ!と鼻息を荒くしたり、色々な百面相を見せてくれる。


「あるしあ・・・お、おにいちゃん・・・?」


そう言うと、幸福感を噛み締めたような笑顔を見せた。僕でもわかる。この子、犬属性だ。しかも可愛い。


「かわいい!ねえ、お父様、僕にもぎゅってさせて!」


「そうか、座れるか?」


そう言われて、僕は起き上がって座る。金髪の人の足の間に座っている感じになってしまったけど、気にしない。


「ぎゅ〜〜!!」


と言いながら、抱きしめてくれる。声とは違って、抱きしめる力は優しい。


「アルシア!今度は私の番!」


女の子がアルシアお兄ちゃんを押しのけて、僕に抱きついてくる。


「元気になってよかった。私はソユア。気軽にお姉ちゃんって呼んでね!」


「おねえちゃん、よろしくおねがいします」


「敬語はなし!わかった?」


「う、うん」


勢いの強い子だなあ・・・。


「私はソンアリーよ。気軽に読んでね」


「ソンアリーさん・・・よろしくおねがいします」


僕は、お姉ちゃんに抱きしめられてソンアリーさんの顔が見れなかったけれど、頭をなでてくれる優しい手が、ソンアリーさんのだということは分かった。


「最後に、俺はアーノルドだ。ノルドでいいぞ。堅苦しいことは言わないでくれ。」


「の、のるどさん。おねがいします」


ふわっと抱き上げられて、ノルドさんの胸に抱かれる。一気に視線が上がって、視界が広がる。


とても綺麗な、応接間って感じの部屋だ。ソファーがテーブルを挟んで向かい合わせに置いてある。


「あ、ご飯を食べましょう?」


「そうだな。もうお昼を過ぎている時間だ。」


「あ、あの・・・・」


ご飯を食べるなら、すごく心配なことが・・・。


「どうした?」


「ぼく、まなー、わからない・・・」


「ああ、それは気にしなくていい。これから覚えていけばいいだろう」


「そうよ。アルシアったら、まだマナーがなっていないんだから」


「な!お姉さまとは年が離れているんだから別にいいんです!」


アルシアお兄ちゃんが顔を真っ赤にして反論する。子供っぽくていいなあ。


いい匂いがする。ノルドさんが歩き始めた。いい匂いがする方向へと。絶対に美味しいと思う。

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