第4話 令嬢の実家でパーティー
「綾瀬くん。この間言った私の家のパーティー今日なんだけど準備できてる?」
リビングのドアを開け風呂に入って濡れた髪をタオルで拭き取りながら実川さんは訊ねてきた。
「あっ、ごめん忘れてた! 何時頃出るの?!」
実川さんは一瞬、覚えてなかったの!? というような反応をして俺を見てくる。
「えっとぉ……確か
真弥というのは天然ちょいおバカ美少女のクラスメイト
実川さんも木村さんとすっかり仲良くなってこの間は二人でディズニシーにも行ったらしい。俺は誘われなかったんだけど……。
写真は沢山見せてくれたけど、俺行ってないから羨ましすぎて泣いたわっ!。
「
「そんなに
お金持ちの家のパーティーだからちゃんとしないといけないと思ったんだけどいいの? ていうか、そもそもタキシードなんか持ってないけど……
仕方なく俺は持っている服の中でも一番まともだと思う服を着て行くことにした。
まぁ店に行った時にマネキンがきてた服だけど。
◆
――アパートを出てすぐにある公園に着くとそこには木村さんがベンチに座って居眠りをしながら待っていた。
「真弥っ!起きて」
「ふへっ!?、なに!? なにごと?」
「もうタクシー来るから行かないと」
「そうだねっ……あれ? なんで綾瀬くんがここにいるの?」
焦った俺は実川さんの顔を見て合図を送るけど無表情でこっちを見ているだけ。
間を空けると余計に怪しまれそうだから慌てて俺は答えを返す。
「と、友達だから! この間話したとき俺も誘われて……」
流石にこんな理由じゃ信じてもらえないよな……
「そーなんだぁー。仲良かったなら教えてよぉ、紗希」
「あ、うん。ごめん」
実川さんは多分何も思いつかなくて俺に丸投げしたんだろう。
木村さんが天然おバカで助かった。
タクシーに乗って数分ほど走り、高級住宅街に入っていく。
どの家も大きなものばかりだけど羨ましいとは思わなかった。俺は狭い家の方が落ち着けて好きだったから。
そのまま少し走っていると一際目立つ大きくて立派な家の前で車は止まり外に出た。
「……これってモダンなお城じゃなくてちゃんと家だよね、ここが実川さんの家?」
「うん。一応ね」
確かに表札には『実川』と書いてあるけどまさかここまでお金持ちだとは思わなかった。何もかもが俺の実家の三倍くらいの大きさ。
実川さんに付いて行き、中へ入るとまずはミニ日本庭園みたいな庭があってその先に大きな建物が建っている。
玄関から中に入ると目の前には全身真っ黒な正装をしたアクセサリーが派手なおじさんが立っていた。
「
「おかえり、紗希。この方々は?」
低い声で優しそうな雰囲気の実川さんのお父さんは不思議そうな顔をして訊ねた。
多分僕らが来ることは伝えていなかったのだろう。
「二人共私の友達」
「そうか、もう友達ができたんだな。それは良かった。今日は沢山楽しんでいってください」
そう言ってお父さんは長い廊下の奥へと歩いて行った。
俺たちも実川さんのあとに付いていき奥へと進んで行く。
廊下には沢山の綺麗な照明が付いていてお金持ちな雰囲気を
少しずつ物音や人の声が大きくなっていき実川さんが足を止めた先を見ると。
そこには大きなロビーがあって沢山の大人が料理を食べたり会話をしたりお酒を飲んだりという光景が広がっていた。
「すごっ――結婚式みたい」
「年に一度沢山の知り合いをお父さんが集めてパーティーをするんだけど。私はほとんど知らない人ばかりなんだ」
それから俺は高級バイキングでお腹いっぱい好きなものを食べ幸せの絶頂に達し、実川さんたちはというと俺をおいて何処かに行ってしまった。
どうしたらいいかもわからないので俺はその辺をてきとうに歩いて周ることにし次いでにトイレを探す。
トイレから出てロビーに戻っていると実川さんたちを見つけ、俺に気づいたみたいでこっちに近づいてきた。
「もう9時前だしそろそろ帰らない? 明日早いんだし」
「そうだね。じゃあ帰ろっか」
「あれ? なんか酒臭くない?」
「真弥がぶどうジュースと間違えてワイン飲んじゃったんだ」
木村さんは実川さんの肩でぐったりして眠っているよう。
こうして実川さんの実家でのパーティーは終わり眠った木村さんを家まで送ってからアパートに帰った。
◆
「あぁー疲れたぁ。やっぱし自分の家が一番だねっ!」
「いや、ここ俺の部屋なんだけどね」
実川さんはベットに飛び込んで横になりゴロゴロ転がっている。
俺はパーティーでもらったお土産をしまってテレビを付けカーペットの上に座った。
この部屋の
そういえば最近ストーカーの話しも聞かないしそろそろ自分の部屋に戻ってもいいのでは。
「綾瀬くん。いつもソファーで寝てもらうのも悪いし今日から一緒にベットで寝よっか」
「へっ……?」
なんか突然、童貞を殺すようなイベントが始まったんだがぁ!!!???
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