第3話 友達になりたいな
「――ねぇっ!綾瀬くんって彼女さんとかいるのぉ?」
「いやっ……できたことすらない」
朝から俺の心の奥底にある悩みをえぐってくるこの女子は天然な美少女でクラスで人気な
低身長で細い身体だけどスタイルは良くアンバランスなほどに胸が大きい。
髪はショートでサラサラ。クラスでは影で割とモテている美少女。
今は一限目が終わった後の休み時間なのだけど実川さんに話に来たついでに俺も絡まれてしまった。あんまり女子と話すのは得意じゃないんだけど……。
「以外だなぁー、じゃあ実川さんは?」
「いなかったよ。前の学校は女子校だったし今までは気になる人なんていなかったから……」
今、『今までは』って言ったよな……今は誰かいるみたいな言い方。
でも実川さん好きな人とかいなさそうだし恋愛とか興味なさそう。
「そっかぁー、じゃあ恋人作ろうよっ!」
「「へっ!?」」
天然おっぱいの木村さんが突然変なことを言い出すものだから俺と実川さんは思わず吹き出してしまった。
「だって実川さん凄く可愛いんだし、アタックさえすればイチコロだよっー」
「そ、そうかな――ありがとう」
少し照れながらも否定はしない実川さん。流石S級美少女だと思う。
木村さんの言う通り実川さんなら好きな人ができればすぐに付き合えそうだ。
あんな美人で可愛くてお金持ちのハイスペックお嬢様なのになんで今まで恋人がいなかったのか、不思議なくらいだ。
「でも私はまだいいかな、まだ転校してきてあまり経っていないしもっと皆の事知りたいから」
「うーんっ!実川さんクールなのにいい人すぎて私が好きになっちゃいそうだよぉ――」
この天然女子さんチョロすぎだろ……実川さんにくっついてデレデレしてる。
でもなんか実川さんの方も嬉しそうなんだよなー。
いい友達になれそうな気がする。
「じゃぁ恋人作るぞ大作戦は綾瀬くんが引き継ぐことになりますっ!」
「いや引き継がないし、なにその作戦!?」
◆
「はぁ、疲れたぁ」
「そーだねー。いつも一緒に帰ってもらってごめん」
隣を歩くのは最近俺と同際を始めたクラスメイトの美少女。
ストーカーに着けられても良くないので毎日登下校は一緒に帰っている。
「いいよいいよ。疲れたのは木村さんの絡みが多かったせいだから」
アパートのすぐ前の道まで帰ってきた所で実川さんがドラマのワンシーンみたいに俺の方を振り返って言った。
「そっかー。私は木村さんみたいな人好きだなぁー。友達になりたいなって思った」
実川さんのその表情に偽りはない。純粋に仲良くなりたいと思っているんだと思う。
「うん。きっとなれるよ、実川さんなら」
「ありがとう、綾瀬くんってほんと優しいね。綾瀬くんとももっと仲良くなりたいなっ!」
実川さんはニコッと笑いまた前を向いてスタスタ歩きだした。
学校では口数も少ないクール美少女だけど二人の時はよく喋るし笑顔が可愛い美少女。俺はそんな実川さんのことをもっと沢山知りたいと思った。
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