第二回 その性能は少しだけ。


 ――この機体のMMとは、モーゼル・モービルというモーターの種類を示している。



 動かしているのは、紛れもなく電気の力。


 操縦方法は執筆だ。キーボードを弾いて、マウスでコントロール。


 僕のエッセイこそ、この機体の操縦桿ともいうべき役割を担うの。そして今、水面から出て、その全貌が露わとなった。それは、人型形態のその姿を見る。



 頭部は口元に動力パイプ。丸いヘルメット型で一つ目。腹部から背中のバックパックまで、そこにも動力パイプが走る。この胴体が、まさにコクピットの中心部。そこで僕が操縦している。脚部は、とくに人型の特徴を活かしている。太腿に脹脛は最も人間のフォルムに近いの。お空は飛べない。ただジャンプ力は百メートルを誇る。


 それから武装は……


 というところで敵が、白銀の敵が襲ってきた。


 十メートルほどの全高。この機体・四季折々よりも高いけど、……元々は、この白銀の敵の高さに合わせたのだ。白銀の敵……正確名称はSP098。武装はないけど、鋭い爪と並外れた機動力。まだその程度しか、情報はない。


 まだ知られざる能力が、多分にあるそうだ。それはこちらとて同じで、四季折々には未だ不明な性能もあるそうだ……といいながらも、初陣の僕にはそこまで知る余裕なんてないの。動かなきゃやられる。それでも、容赦のない攻撃で……



 その鋭くも長い爪は、装甲を掻き毟る。

 そして幾度も貫通する腹部。コクピット内の僕の肩を掠める。


 武装は……と、大きな衝撃。右腕が引き千切られて宙を舞う。機体の右腕だけど、精神的にも僕のダメージは大きい。頭部は噛みつかれ、装甲内のメカが露わとなる。僕は上げるの、断末魔の声を。左腕が発射するの。肘から先が。……パンチが発射した。



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