ナンパ

「ねえねえ、俺と一緒に今からカラオケ行かね?」

「いいですよ」


え?

マジ?


道行く可愛い女の子を片っ端からナンパし、尽く断られる。

それがテンプレだと思っていたが、まさかの承諾。


「ほ、ほんとに?」

「はい。今暇ですよ」

「変な事するかもしれないよ。俺、ヤりまくってるし」

「逆に大歓迎です」


おいおい、こいつビッチかよ。

まあ、いいや。

これでこの女は俺のものだ。


「なら、行こうぜ」

俺は、女の腕を強引に掴み、強制的に連れて行く。

「ふふ、積極的でいい男♡」

女は、妖艶な笑みで言ってくる。

この女、俺を誘ってるのか。

なら、お言葉に甘えて。


俺は、女を連れてカラオケ──ではなく、ラブホテルに行く事に。

「カラオケじゃないんですか?」

「いや、ここはカラオケ付きのラブホなんだ。たっぷりと堪能してやる」

そう言うと、女は上に羽織っていた上着を脱ぎ始め、肌が露出した服を見せる。

スタイルいいし、巨乳だし、しかも可愛い。

ラブホ前で脱ぎ始めたって事は……そういう事なんだな。

「準備万端って事でいいんだな」

「はい。早速入りましょう」

女も気合十分ってところだな。

じゃあ、存分に可愛がってやる。


俺達は受付を済ませ、用意された部屋へと行く。

お、かなりいい感じの部屋だ。

コンドームやローターもあり、その他諸々オトナのおもちゃばかりだ。

クローゼットには、バスローブとコスプレグッズが入っている。

テレビは、AVが再生できる。

シャワー室には、ローションが用意されている。

完璧だ。

「どうする? シャワーが先かカラオケが先か」

俺は、女に質問する。

すると

「では、あなたが先にシャワーを浴びてください」

女は、俺が先にシャワーを浴びろと答えた。

「俺が?」

「はい。本当は一緒に浴びたいのですが、まだ早いかと思いまして」

まだ早い?

あー、なるほど。

シャワーでのプレイでは満足できないんだな。

了解。本番はベッドでのプレイでお楽しみといこうか。

「はいはい。分かったよ。俺が先に綺麗にして後でゆっくりお楽しみだな」

「はい。楽しみにしています」


脱衣所で服を着替え、シャワーで体を洗う。

先の事を考えると、楽しみで楽しみで仕方ない。

おっと、俺の息子よ。まだ勃つなよ。

俺のテクでイカせてやるからな。

練りに練った完璧なイカせ方を思い返しながらシャワーを終え、シャワー室を出る。

俺の息子に媚薬をつけようと考えたが、流石に止めた。

妄想を捗らせながら俺はバスローブに着替える。


「次、いいぞー」

髪をタオルで拭きながら俺は女に言う。

「あ、はい。分かりました」

女は、事前に持ってきたであろう勝負下着とバスローブを持ち、シャワー室へと向かう。

「あ、そうです」

女は突然振り返り、そして言う。

「あなたがシャワーを浴びている間、コーヒーを淹れたので良かったら飲んで下さい」

ベッド近くのテーブルには、コーヒーが置いている。

「ん。了解」

「では」

その後、女は脱衣所で服を着替え始める。

覗こうと思ったが、後の事を考えて止めた。

にしてもコーヒーを淹れてくれるなんて気前いいな。

ん、待てよ。もしかしてコーヒーに睡眠薬が入っているのか?

怪しい。

そう考え、部屋のドアを確認しようとドアノブに手をかけた瞬間。

ガチャガチャ。

開かない。

何故だ?

何度も開けようとしたが、一向に開かない。

内側では開かないという事は誰かが外側で鍵を掛けたか、もしくはドアが故障してるのか。

後者であって欲しいが。

クソ!

諦めた俺は、遂に怪しいコーヒーを飲む。

すると……

目の前が歪み出し、俺は意識を失った。





ん……。

あれ……?

俺は……

「やっとお目覚めのようですね」

目の前にはバスローブ姿の女が。

「てめえ! やっぱりコーヒーに睡眠薬入れたのか!」

「あら。気付いて飲んだの? あなたドM?」

「しかもドア開かねえし! ふざけんなよ!」

「ドアも気付いたの? それは、私がドアに細工したの」

「チっ俺を閉じ込めるために……」

「いいわいいわ!! その希望が絶望に変わる顔!!」

「今すぐ殴ってやる!」

「無理無理! だってあなたの手、拘束してるもの」

見てみると、俺の手が縄で縛られていた。

「このクソ女!!」

「清楚系ビッチを演じて、数々の男を殺してきたから大丈夫。当然あなたも殺してあげるから」

敬語で話していたのもすべて演技なのか。

今は、女の本当の顔という事か。

「いいぜ。俺を殺してみろよ!」

「意外と強気ね。大体の男はここで命乞いするんだけど」

「俺は違うね。こんな可愛い女に殺されるなんて最高だろ?」

「可愛いだなんて嬉しいわ。特別に可愛がってあげる」

「もしかしてヤッてくれるのか?」

「ええ。殺る前にあなたの体を好き放題弄ってあげる」

なんだよ。これが新手の拘束プレイなのか。

そそるな。

「では、まずは……」

女は、ポケットからナイフを取り出し、俺の小指を切り落とす。

「ギヤアアアッーーー!!」

「ハアハア……これがあなたの小指ね」

女は、俺の小指を頬ですりすりと擦る。

「こいつ……イカれてる……!」

「私は、男の体の一部をコレクションするのが趣味なの。一人目は爪、二人目は腕、三人目は足、四人目は眼球」

なぜこいつは逮捕されないんだ……?

女はバスローブを脱ぎ始め、全裸で俺の指を切り落とす。

「ギヤアアアッーーー!!!」

女の体は血だらけになり、俺の両手は指を全部失った。

「ああん//」

女は、切り落とした指を使ってオナニーをしていた。

「とてもとても気持ちいいわ」

こいつ……!!

俺は、辛うじて意識を保っている。

美麗なスタイルと巨乳が相まって女の自慰行為はとても素晴らしい。

だが、全身血だらけだが……。

ハア……ハア……。

クソ……! セックスしたい……!

「さてと、次は……」


「あ、そういえばしてないわね」

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!!

「楽しかったわ」

女は妖艶な笑みで俺を見つめ、ナイフを俺の胸へと突き立てる。

そして……


グサッ!


「これが男の心臓……素晴らしいわ!!」

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