オンライン授業の成績評価

 通常、大学の成績評価は、出席数や毎授業のリアクションペーパーの提出状況、場合によっては小テスト、中間レポートなどを加味したうえで、期末試験ないしは期末レポートの提出を以てなされます。

 

 オンライン授業下でもそれは概ね同じですが、対面授業とは比率が変わっていることが多いです。また、対面授業における、持ち込み不可のテスト(テストの際、レジュメやノートなどの資料の持ち込みが禁止されているテスト)は、オンライン授業においては事実上不可能です。そのため、テストを実施する場合はそもそも持ち込みを可能にし、また小テストや中間レポート、毎回のリアクションシートの比重が増すことが多いといえます。


 しかし、多くのオンライン授業においては、テストではなく期末レポートによって成績評価がなされることが多いです。先に挙げた通り、提出可能時間を短めに設定するなどしない場合、持ち込みを許可せざるを得なくなります。何かしらの資料を元にテストに回答するのであれば、それはもう、レポートとあまり変わりません。それならむしろレジュメや資料を読み込んで一つのレポートを作らせ、それによって理解力を問う方がよいといえるでしょう。


 すると、どうなるか。

 オンライン授業は、対面授業に比べて一回一回の授業における負担は小さくなる傾向があります。わざわざ教室を移動する必要もないですし、こちら側に騒音がない場合、授業環境は対面授業よりいいと言えます(対面だと授業中に平気で会話する人もいますが、オンラインではそれがあったとしても他学生にとってのストレスにはなりません)。

 しかし、期末試験の負担は対面授業より格段に増えると言えます。先に述べた通り、ほぼすべての授業でレポート提出が義務付けられる可能性があるためです。受講する授業数にもよりますが、仮に12個の講義を取っており、そのすべてにおいて2000~4000字のレポートが課されたとした場合、合計24000~48000字になります。もちろん、ばらつきはあるのは言うまでもありませんが、これをひと月くらいで書かなければならないということにもなりかねません。


 しかも、コロナ禍の初期にはほしい資料が手に入らないということもありました。緊急事態宣言の最中、大学図書館に行くことが憚られたためです。

 大抵の講義のレポートは、レジュメや配布資料さえあれば書けるようなお題設定がされていましたが、成績がかかっている以上、多少参照する必要もあり、決死の覚悟で図書館に赴く必要もありました(ただし、図書を輸送してくれるサービスもありました)。


 しかし、ただでさえ多いレポートです。一つ一つにつき参考資料を読んでいる時間はなく、質としてはあまり良くなかったのではないかと思っています。もちろん、教員側もその点については理解があったようですし、小テストなどの評価比率が比較的高い場合も多かったので、このくらいでいいかと開き直ることも出来ましたが。


 もちろん、だからレポートを減らしてくださいと請願するつもりはありません。何かしらの手段で成績評価は必要ですし、何より私はもうじき卒業しますし。

 ただ、今後オンライン授業が定着するにつれ、新たな評価の仕方も出てくるかもしれないと、漠然と思いました。

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