第30話
翌日、千鶴子とアンジェリンはバスに乗ってモールへ着いた。 バスの中では一番後ろの席に座った。乗客が余り乗っていなかったから、結構大きな声で話しながら、日本の歌謡曲を二人で幾つも 歌ったりもした。だから降りる時には運転手が舌打ちをしながら自分達を睨み付けた! モールではを色々と見ながら、フードコートで何かを食べた。そして映画を見る事にした。 「ねー、千鶴子。ちゃんとに券を買うんだよ?」 アンジェリンが釘を刺した。 「分かってるよ〜!!」 「本当に、又変な事をしないでよ?!」 千鶴子には狐の霊が付いている。前には凄くそう認識していた。今は、そこまででも ない。
だが、やはり何かおかしい。只、今は普段は恐くない。だからこんな所にまで、サンタモニカにまで来たのだ。 幾らこの地に興味があっても、本当に恐くて嫌なら絶対に来なかった。 だが、あの犬のルディが丸で自分をガード する様に、ずっと自分の周りに絶えずいた。あの家に着いてからずっと、エレンに引き 離されるまで。 その後は室内で結かれていたり、庭に出されて入れない様にされていたが。 エレンが引き離して連れて行く時には、あの犬は物凄く嫌がって抵抗していた。丸で離れたら、アンジェリンが何かをされるのを案じていた様に、彼女には見えた。 そして同じ室内にいた時に、千鶴子の側には寄らず、例え千鶴子が何回名前を呼んでも 絶対に側には行かなかった。そうして明らかに千鶴子を無視していた。 だが、本当に不思議で仕方が無い。どんなに何かが起きても、アンジェリンは又彼女と 普通に話して、元に戻っしまう!!それは 知央里達も同じだ。 修子はそうでもなかったみたいだが、それでも誰も千鶴子を嫌だと思わない?! アンジェリンが一番被害をこうむっている 筈なのに、こうしてモールで一緒に遊んで いる。そして又映画館へ来て、一緒に映画を 見ようとしている。 結果、アンジェリン達はポール ニューマンの映画を見た。Verdict、日本のタイトルは「評決」だ。(ちなみに現アンジェリンが 大好きな、氷結ではない!今、最初にそう した字が出てしまったが!!) これはとても良い映画だったが、中身は難しかった。 そしてこれを見終わると、外はかなり暗くなっていた。アンジェリンは家に電話をかけようと千鶴子に言った。実は映画を見る前から何度もそう提案していた。だが千鶴子は頑なに拒否した。 アンジェリンが電話をかけてくると言って 公衆電話を探しに行こうだとか、見つけて かけようとすると、何だかんだ理由を付け ては強く反対して、絶対にかけさせなかった。 …心をある程度許した人間を、(多少でも)信用すると、それでとんでもないとばっちりを受ける事がある!!そうした事は世の中には幾らでもある。だから自分がしっかりして、そうした奴らを信じなければ良いのだ。 これが後のアンジェリンの教訓の一つだ。 だからアンジェリンと千鶴子は何も連絡をせずにバスに乗り、暗い中をエレン達の家ヘと戻った。
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