第22話

「アンジェリン、来い!話がある。」   「千鶴子の事?」            「そうだよ。何だ、お前もう知ってるのかよ?誰に聞いた?」           「千鶴子に。」             「馬鹿、お前まだあんな奴を部屋に入れてんのかよ?!」              「違うよ。外で話したんだよ。部屋の前で。」                「いいか?あいつは来月、サンタモニカの 学校に移るんだからな。俺が一生懸命に探して、あいつの親に上手く言って移させたんだから。そうしたら丁度良く、親戚の知り合いがあっちにいたからよ。そこに住む事になったから、そうしたらもう此処ヘは戻らない!そこから日本へ戻るよ。良かったなぁ、  おい?なぁアンジェリン。お前も嬉しいだ ろう?」                「うん。」               「何だよ、もっと喜べよ?」       「ありがとう、居達さん。だけどあの子、 変な事を言っていたから。」       「何だよ、変な事って?」        「今に必ず居達さんに仕返しをするって。 大事な人を殺すって言ってた。」     「大事な人を殺す?!お前そんな事を信用 してんのか?」             「そういう訳じゃないけど…。」     「そんな事ができる訳が無いだろう?いいか?お前はあいつに狐の霊が付いてるなんて本気で思ってるがな。あいつは、精神がおかしいんだよ。少し狂ってるんだよ。気狂いってヤツだ。だから恐いんだよ。」     「…そう?」              「そうだよ!」             「じゃあ何で前に犬人間だから私の事が嫌いだって言ったの?悪霊、狐が付いてるから じゃないの?」             「気狂いってのはな、普通の人間が分から ない様な事もたまに分かったりするんだ。 だからだよ。だからお前の母親代りみたいのが犬だと感じたんだろう?」       「ふ~ん、そうなの。」          アンジェリンは居達さんに合わせてそう言った。                  だが千鶴子が言った事はその後、偶然なのか、当たっている。それに付いてもそのうち話す事にしよう…。千鶴子のエピソードの 中でなくてもだ。

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