呼び出し
リーベル外務大臣が捕まって2週間が経った。
この間リーベル外務大臣周辺の調査が行なわれた。
その結果、今回の件と同様の余罪がいくつも明らかになり、虚偽記載により得ていた金銭は他国への賄賂とリーベル派の貴族にばらまかれていたことがわかった。
これでどんな外交案件でもまとめることが出来た理由が明らかになった。
またリーベル派貴族へのばらまきは、リーベル派のトップである自身への求心力を強め、有力派閥としての力を維持するためだった。
ここ最近は同じく有力派閥であるノスタ派に遅れをとっていた。
派閥の力を取り戻すために虚偽記載を外務庁職員に指示し資金を得ていたようだ。
裁判は捕まってから3ヶ月後判決が出された。
サノスによると裁判の結果、リーベル外務大臣は炭鉱での強制労働の終身刑になるという。
また金銭を受け取っていたリーベル派の貴族は爵位を剥奪、虚偽記載の指示を受けた外務庁職員は懲戒免職となった。
「父様、無事全てが終わりましたね。お疲れ様でした。」
アルスは法務庁大臣室でサノスをいたわる。
「やっと終わったよ。しばらく何もないことを願うよ...」
サノスはかなり疲れているようだ。どうやら今回の件はサノスが法務大臣になってから最大の出来事だったようだ。
アルスとサノスは大臣室でしばらく話していると大臣室の扉がノックされる。
コンコン
「失礼します!!!」
入ってきたのは執事のセシルだ。かなり急いで来たようで息が切れている。
「どうしたセシル、そんなに急いで。」
「お、王城からすぐ来るようにと。」
「王城から?わかった、すぐ向かう。」
王城からの招集ということでサノスは席を立とうとする。
「いえ旦那様、今回呼ばれているのはアルス様です。」
「えっ、なんで!!!」
「なんだと!!」
アルスとサノスは驚いた。
「何用か私も聞いてはおりませんが、すぐに参るようにと言われております。急ぎましょう。」
「は、はい。」
アルスはセシルに言われるがまま大臣室を出た。
一方サノスは、
「一体...なにが起きてるんだ?」
大臣室に1人ポツンと残され、そう呟いた。
______________________________
外務庁を出たアルスは王城に向けて馬車を走らせる。
王城からの呼び出しということでセシルはいつもより馬車のスピードを出す。
その結果、王城の城門へは5分ほどで着いた。
城門の検問などで時間がかかると思ったが、予め連絡がいってるようですんなり通ることが出来た。
城門を通ると王城の全体を見ることが出来る。いつもは城壁の外から見えているが城壁内から見る王城は迫力がすごい。
王城はマリアナ王国一の建物だ。高さは法務庁よりも遥かに高くとても大きい。城の造りは石造りで真っ白な洋風の城だ。
城門を通り王城までの馬車の中で、王城の凄さにアルスは見とれていた。
そして馬車が止まる。
どうやら王城の入口に着いたようだ。
アルスは馬車を降りるとそこにはノスタ公爵であり財務大臣でもあるロフが待っていた。
「アルスくん、久しぶりだね。元気だったかい?」
ロフが笑顔で出迎えてくれた。
「ノスタ公爵、ご無沙汰しております。」
アルスはロフに挨拶をする。
「ノスタ公爵がなぜ僕の出迎えを?」
なぜロフがアルスを出迎えたのか尋ねた。
「実は陛下がアルスくんに用があるみたいでね。親交のある私に出迎えるように言われたのさ。」
「僕に陛下がですか!?」
アルスは国王直々の呼び出しであることに驚く。
「もう、陛下がお待ちだよ。さっ、謁見の間に行こうか!」
「えっ、心の準備が...」
「いいからいいから!」
ロフはアルスの腕を引っ張る。
アルスは大人しく従うことにし、謁見の間に向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。