生徒の相談部

@Contract

部活動創設編

第1話 俺はずっと妹が欲しかったからだぁぁぁぁ!

「良太しっかりして!?」


大好きな彼女の愛しい声がぼんやりと頭に響き、取り敢えず体を起こそうと頑張ってみるがまるで体がいうことを聞いてくれない。

体から赤黒い血が凄い勢いで漏れていくのが分かる、もう長くは持たないだろう。

もうすぐ娘が生まれると浮かれていた矢先、俺は打たれた。

あの音とこの傷の深さから見るにマグナムマグナムだろう。

今までに感じたことのない腹部の痛みをこらえて、握られた右手を握り返し必死に笑顔を作る。


「今までありがとう、君がいてくれてよかった」


「もう死ぬみたいな言い方はやめて!」


周りが騒がしくなってきたが、それでも好きな人の言葉だけははっきり聞えた。


「お腹の子見たかったなぁ」


「これからいくらでも見られるから、だからお願い死なないで!」


遠くからサイレンの音が聞こえてきてきたが、当たり所が悪かったのだろう、結構な血が流れているのが視界に見える。

周りにいた人の一人が止血しようと動いてくれてはいるが、間に合いはしないだろう。

いつもみたく軽口で返したい所だがどうにもそれは叶わない願いらしく、もう口も動かない。

平凡な人生だけど悪くは無かった、世界がおかしくなってお金も、仕事も、生活も、

みんなおかしくなったけど、友人がいて妻がいて、子供が出来て幸せな人生だった。

ただ一つ最後に願いがあるなら子供も顔が見たかったなぁ。

そんなことを思いながら俺の意識は遠のいた。





最近寝る前に目が覚めたら美少女が横で寝ている妄想をして寝ているんだ。

みんなもそんな経験あるだろ?

そしていつも通りそんな事ある訳ないって分かっててでもどこか期待しながら目を覚ます。

しかし今日は僕の寝ているベットの前に立って居たのだ、金髪でスタイルがよく、大人数楽しそうに騒いでるのが似合いそうな女性が。


「チェンジで」


真面目そうで優しい黒髪の女の子が僕のタイプだ、夢の中でまでガチャが渋いとは

夢の中だと確信し、二度寝に入るのと同時に勢い良く蹴りが飛んできた。


「こっちこそ願い下げよ、このくそオタク!」

「ぐほぉ!」


蹴りは見事に俺の腹に決まり劇痛に襲われた。


「本当に特異点がこいつなのよね」


腕時計のような物を軽くポンっと叩き何か映し出したかと思えば、何かを確かめるようにじろじろと視線を動かした。


「お前いきなり何なんだよ!」


そんな俺の叫びなどお構いなしに彼女は画面と俺の顔を行ったり来たりで俺の声など全く届いていない。


「こんなのが世界を握ってるなんてとんだ悲劇ね、いや喜劇かな?」


そしてため息までつき始める始末だ。


「なあ、取り敢えず出てってくれないか」


言ってる事を聞く限り言葉は通じないしみたいなので早急に出て行って欲しい。

部屋も荒らされておらず見た感じ盗まれた物もないようだしさっさと出て行って貰いたい。


「何言ってんのよ、あんたの為に世界が危ないから私がわざわざこんな田舎臭い過去まで来たんじゃない」


「お前、頭おかしいのか?」


最もな感想だろう、しかし彼女からは呆れ顔を浮かべてめんどくさそうに話し始めた。


「まあ、いきなり信じろって方が無理か、いいよく聞きなさい!」


まるで教師がお説教をするように話し始める。


「あなたのクラスに高神 琴音たかがみことねっているでしょ」


「いるよ、文武両道、眉目秀麗のあの子だろ?」


「あの子は超能力者なのよ」


「は?」


「あとイケメンの白浜悟史しらはまさとしあいつは宇宙人なのよ」


「は?」


彼女は何を言っているのだろか、アニメか漫画の見過ぎで頭がおかしくなったのだろうか。

確かに面白いのは分かるが現実と一緒にするのはまずいだろう、

近くにあったスマホを手に取る。


「取り敢えず帰ってくれないか?これ以上ここにいるようなら警察に電話させてもらう」


これ以上妄想ごっこに付き合ってられない。

いや、クラスの奴らの差し金かもしれないな、どっちにしろこれで出てくだろ。


「あーもう何よ!散々お願いされてれて来てみたらこの始末!」


そう言うと案の定ドンドンと足音を立てながら出ていった。


「後で別の仕返しを考えなければな・・・」


一応、通帳やカード類を一応確認したがやはり取られた物はなかった。


しかし不可解な事にクラスで怪しい奴を何人か尋問したがどうもいつもの、

いたずらの類ではないらしい。

こんな事もあるかと数日が経ちまたギャルみたいな彼女が帰路で現れた。


「また君か・・・」


正直もうギャルぽい見た目だけで怖いのだが更にストーカーなのだろうか、

それとも何かの罰ゲームなのだろうか、もううんざりである。


「あと五秒で雨が降るわ」

「5・4・3」


彼女はカウントを始めた。

ちなみに今日の降水確率は20%だ、降るはずがない。


「2・1」

「「・・・」」


何も起こらない、当たり前だ。

取り敢えず彼女から距離を取ろうとした時ポツリと頬に雫が当たった。


「そこのファミレスでもう一度前の話聞いてくれない?どうせ傘持ってないんでしょ?支払いは私が持つわ」


たまたまのタイミングかどうなのかは分からない、ただ傘も持ってないのも事実だったので頷いた。


「じゃあ行きましょ」


彼女の後ろを少し離れて歩く。

こんな状況に少しワクワクしている自分がいる事に驚いた。


店入ると、平日のまだ早い時間帯とゆう事もあり客はまばらであまり人気のない隅っこの方の席で二人座った。


「好きなの頼んで、どうせ経費だし」


とは言われたものの対してお腹はすいてなかったのでコーヒーを頼む、彼女はパンケーキにパフェなどこれが夕食だと言わんばかり頼み始めた。


「よくそんなに甘いの食べれるな」


「女子高校生は無限に甘いの食べれるのよ」


「それで、話ってなんだ?」


「あまりこの会話は聞かれたくないのよ、だから頼んだのが来てからにするわ」


「こんな場所で話ておいてか」


「こんな状況じゃなきゃ聞く気ににもならなかったでしょ」


「それもそうだ」


ここに来たのも雨宿りとタイミングの問題だった。


・・・


五分くらいたったのだろうか互いに無言の時間が流れる、暇になったのか彼女が口を開いた。


「ねえ、あんたって彼女いるの?」


「藪から棒だな」


「実際いるの?」


「いるよに見える?」


「見えない」


「正解」


ツンツンとしていたた表情を少し緩めて笑う。

ここで普通なら恋に落ちて物語が始まりそうなのもだが、さすがの俺も妄想女性相手に始められる恋心など持ち合わせていない。


「そう言うお前は?」


「・・・いないわよ」


「やっぱりな」


見た目がいいのかでモテると踏んでたのだが、やはり妄想少女では恋は難しいようだ。


「やっぱりって何よ、これでも私あっちでかなりモテモテだったんだからね!」


「自分で言うか」


「事実だもの、逆にここでそんな事無いってのも嫌味よ」


ここまで来ると少し彼女に興味が出てきた


「色恋ざたは今も昔も変わってないわ」


「今も昔もって多分ほとんど年齢変わんないだろ」


「お持たせ致しました」


頼んでいたコーヒーやパフェやパンケーキなどが運ばれて来る。

テーブルに並べ終えるとテーブルのほとんどが甘い物で埋まってしまった。


「では失礼します」


軽く頭を下げまた仕事に帰っていった。


「ちょうどよかったわ、年は変わんなくても私は未来から来てるから過去の事はある程度分かるのよ」


「なるほど、それでここからその話か」


「今日の雨が降るタイミングもそれで知ってたのよ」


「うーん」


にわかには信じがたいがしかしあの雨の図ったようなタイミングは少し不気味である。


「でもそれでなんで世界が危ないのと俺に何の関係が?」


「そこなのよね、私も分からないわ」


「おい」


まったく要領のえない話である。


「ただね、コンピューターが出した結論があなたなのよ」


「そのコンピューター壊れてるんじゃないの?」


「私もそう思ったわ、ただね何度もやっても同じ結果で変わらない」


「ちなみにコンピューターはどんな計算式で俺を出したんだ?」


「今までのすべての映像と結果から」



「全ての映像と結果?」


「どこでもカメラなんてあるでしょ、その全ての映像から出した結果

そこから因果関係の強さを調べたらあなたになった」

「今日雨が降るのが分かったのはそれでし、天候なんて因果そう変わらないしね」


「特に俺は何か大きな事をした覚えも、する予定もないが」


「当たり、あなたは独身のまま一人寂しく生涯を終えていたわ」


おいおい、まじかよ俺は魔法少女になっちゃうのかよ、とゆうか賢者までの出席コースまで確定してしまった。

どこまでヘタレなんだ俺は。


「まったくのヘタレね」


「ちょうどそれ考えてたからやめてくれ」


どうやらこの性格は分かっていたがもう変わらないものらしく、

誤魔化すようにブラックのままコーヒーを口に入れた。


「じゃあさ、あんた美香を彼女にするの手伝ってあげるから悟史とも友達になるってゆうのはどう?」


「いやいや、俺と美香さんが付き合うなんて無理でしょ!」


月と石ころもいい所である。


「そんな事言ってるから彼女も出来ないんでしょ」


「うぐっ!」


「それに今のあなたの状況を変えてしまうのが、未来を変えるのには手っ取り早い気がするのよね」


まあ、宇宙人や超能力者などといった訳の分からない事に手を貸すより友達と彼女を作る目標の方が百倍マシである。

とゆうか彼女が欲しくない男子高校生がこの世にいるだろうか!


「それくらいであればやるよ」


「でもここからが問題なのよ」


「ん?俺と琴音さんと悟史が友達になればいいんじゃないのか?」


「でも未来を変えるのはそう簡単じゃない気がする、確かにあなたには強い因果があるけど友達や彼女みたいな関係でどうにかなるものなのかしら」


「彼女って結構強い因果じゃないか?」


「実際強いけど決定してしまった事実を変えるのには足りない気がする」


「じゃあどうしろと」


「うーん、やっぱりその人達と長い時間色んな経験を一緒に乗り越えて行くのが一番かな」


「なるほど、でどうすればいい?」


「まったく分からないわ」


自信満々に言い切られてしまった。


「それはこれからどうにかするわ、これから一応よろしくね良太」


「こちらこそよろしく、えっと・・・」


未咲みさきでいいわよ、名字は一応あんたと同じだから」


「は?」


おいおい、いくら何でも展開早すぎだろもう俺の人生の打ち切り決まったっちゃったのだろうか。



「動きやすいようにここ数日でいろいろやってたってたのよ」


「そしたらなんで名字が同じになるんだ!?」


「あんたを守るためよ、過去に人を送る技術は私達しか持ってないけど一応護衛としてずっと一緒にいなきゃいけなくなったの、ほんと災厄!」


大きなため息をついてぐったりとうなだれる。



「まさか家に住むとか言わないよね?」


「そのまさかよ」


追いつかない思考を何とか巡らそうとまたコーヒーを口に入れる。


「結婚もしてないのに一緒に住むなんておかしくないか?」


やっとの思いで出てきた言葉がこれだ。


「うっさいな、こっちも手段を選んでられないのよ!あんたが死のうが私は構わないけどそう思わない人達が未来では多いのよ」


「それでせめてもの配慮で兄弟って事にしたの、お分かり?」


「お分かりも何もまったく理解できないが!」


おじさん最近の若い子の考え分からないよ、若者の人間離れはここまで深刻なのだろうか。


「私が姉であんたが弟だからこれから言うこと聞きなさいよ」


「え、きみ年上なの?」


「え、年下だけど?」


訳が分からない。


「じゃあ俺が兄じゃない?」


「いやあんたの妹とかキモいし、私未来人だから実際年上じゃん」


「いやいや、そうだとしても居候なんだしそこは俺が兄でいいじゃん」


「いや、でもあんた頼りなさそうじゃん」


「その通りだが頼む、この通りだ!」


床にうつ伏せになり、最上級の誠意を示した。


「いやキモ!やめて!なんでそんなのにそこまでこだわるのよ!」


「俺はずっと妹が欲しかったからだぁぁぁぁぁ!」


店内には俺の魂の叫びがこだました後、そのまま追い出される形で店からでた。

変な目で見られたしブラックリストに載っただろうが後悔はない、むしろ清々しさすらあった。


「そろそろキモい以外の言葉をくれないか」


「変態、キモい」


「今夜何食べる?」


「変態、キモい」


「とんでもない料理を食べることになりそうだな」


冷蔵を開け中を確認する。


一応食材が入っているが二人で食べるには少し心もとない量だ。


「これから食材買ってくるけど、もせめて食べられない物とか教えてくれない?


万が一作った物が食べれないとゆうことになっては本末転倒だ。


「キモい奴が作った料理なんて食べられないわ」


「おい」


こいつには良心といった類の物は学ばなかったのだろうか

原因は完全に俺だが。


そして何故か聞き返される。


「なんか食べれないのある?」


「いや別にないけど」


「料理は私が作るからあんたはそこで待ってなさい」


驚いて彼女を見つめ返した時にはもう玄関のドアが鳴っていた


「俺の新しい妹はツンデレなのかな」


そんな事を考えながらベットに倒れこんでスマホを開くと兄貴からメールが来ていた。


(家族でお前の小学校の時のアルバムあさって楽しんでるから

お前も帰ってこいよ)


家族のニヤニヤ顔が目に浮かぶ。

添付されている写真には僕の将来の夢が書いてあり、少しの間眺めたあと

「お盆には帰る」

と書いて送り返した。



「なあ素直料理出来ないなら出来ないって言ってくれないか」


「しょうがないじゃない、知ってる食材は少ないし栄養食だと思ったのよ!」


食卓には牛乳と混ぜて作るブルーチェなるものが2Lほど出来上がっていて

いささかこれを料理と言うには少しきついものがある。


「でもこれはこれで面白いかも」


「気使ってる?」


「まさか」


二人で黙々と山盛りのブルーチェを食べ続けるとゆう奇妙な絵面が出来上がった。



「なあ、将来の夢って何だった?」


ふと気になって声を掛けた


「なんであんたにそんな事教えなきゃいけないのよ」


「さっきさ、メールで俺の卒アルが送られてきたんだよ」


「それで、あんたの夢は何だったの?」


「宇宙人、未来、超能力者とお友達になるだってさ」


「叶ってよかったわね」


「お前の話が本当だとしたらな、お前は?」


少し俯き恥ずかしそうに顔を赤くしボソっと呟いた。


「アイドルだったかしらね、たぶん」


「いい夢じゃん、きっとなれるよ」


「ありがと、まあ今は未来自体が危うくてそんな余裕ないけどね」


「それは俺が何とかするから安心しろ」


自信満々に言い放つ。


「その根拠はどこから来んのよ」


呆れ顔の彼女に堂々と宣言した。


「何となくだよ」


「当てにならないわね」


その晩、ベットは占領されたので適当なソファーで寝ていた。

ベットには劣るが十分な寝心地である。

人生で最高の瞬間とも言える睡眠は大きな衝撃音によって俺をすぐさま現実に引き戻した。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る