第19話 マネージャー

放課後になった。


私は放課後になるといつもさっさと帰宅するのだけれど、今日は一つ放課後にやらなければならないことがあった。それは、陸上部でマネージャーを募集しているのかを聞くこと。それも良太に。


そう、良太に聞くのよ。良太に聞かなければ意味がないわ。ここで日和って全然知りもしない人に聞いたって意味がないの。そもそも良太くらいしか男子で話せる人がいないから、あれなのだけれど········。

女子なんかは、私のことを雪女ゆめではなく、雪女ゆきおんなと呼んでることを私は知っている。


私がこんな性格だから、そうやって嫌われるのは分かっているけれど、雪女ゆきおんなってなんなのかしらね?雨女ならわかるのだけれど、雪女って?最近の女子どもは厨二病ってものなのかしら?それともポエマー?まぁ、なんでもいいけど。


とにかく、私は良太にマネージャーの募集をしているのかを聞くという大事な、それはもう大事な使命があるのよ。


私は顔を上げて前の席に座る良太を見た。良太はいそいそとリュックの中に教科書類を詰め込んでいる。


(いつも思うのだけれど、良太は勉強すごい頑張ってるわね。私も負けずに頑張らないと)


最初のテストで良太は学年1位なのに対して私は130人中124位。どうしたら、いいのかしら?


英語なんて何をしたら良いのか分からないし、良太に聞こうかしら?どうやって勉強してるのって。いや、ダメね。それを聞いたら『お前、そんな馬鹿だったのか!?』って良太にドン引きされるじゃない。それはありえない。絶対にありえない。

それにあれよ。私のこの前のテストの点数もそこまで悪くなかったわ。だって12点よ。十分じゃない。これなら英語で無双できるわ。


⚫いや、無双はできない。加藤の今の英語力なら、余力を持ってして、赤点を取れる。そして、加藤は忘れている。自分のやるべきことを。


あれ?そう言えば私は何をやろうと······いけない!


私は教室内を見渡すと良太の姿がないのに気づいた。


「···········」


··········明日にしよう。

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