独り模様

音澤 煙管

人もねこも、この頃に……




こんな日が以前にもあった、

小雨の日曜日に思うこと。


必ず一人の時間が過ぎ、

夜が明けて日が暮れる。


外は雨音がしたり止んだりして、

風は常に彷徨っている。


空が気になりじっと見つめる、

速い雲の流れで雨なのに明るい空。


空気は風に乗って、

乾いたり湿気たりで気怠い。


蝉の声から鈴虫に、

いつの間にか暗くなる。


同時に風は止み空には月、

雨の時過ぎて秋の準備だろう。


この時空の上は忙しなく、

遠くの雲が稲光に明るくなる。


同じ時間に思うことは幼少の頃、

まだ10数年も生きていない時。


暇を弄ぶ時間も惜しみなく、

空なんて見上げた時間すらも無い。


ブラウン管とは睨めっこ、

片親の小言が頭を過ぎてゆく。


もっと幼かった頃には、

ベランダから月を眺めていた。


空の上の世界が好きだった、

嫌な事を忘れられる未知の世界を。


同じ今、

ベランダではまた風が吹く。


嫌な事は幾つになっても、

沢山あり過ぎて風と話したくなる。


そして今は流れる雲の下、

ねこの影絵と戯れている。


ねこの様子も忙しなくて、

キョロキョロ辺りを見回している。


やがてまた小雨が降りしきる、

諦めたねこはひと鳴きして家に戻った。


小雨の日にはねこも思う、

独りぼっちでは無い事を……








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