第25話
一郎とレオは、セクターの突然の襲来に出撃していた。
「なんだか、あの機体動きがおかしいな……」コクピットに座る一郎は首を傾げる。
「どうかしましたか?」レオの声が聞こえる。
「いや、あのセクター……、仲間から追われているように見えないか」一郎は一つの機体を指差した。その先には同胞と思われる機体から攻撃され逃げるように飛行する物体があった。
「どうやら仲間割れしているようですね」レオは淡々とした声で返答する。
「なんなんだ、一体?」一郎は攻撃を躊躇する。その言葉を無視するようにエクスは、セクター達を一掃するかのように、攻撃の体制に移行しようとする。
「レオ、ちょっと待ってくれ!」一郎は攻撃を制止する。
「どうかしましたか?」レオはエクスの攻撃を止めて返答をした。
「あいつ、助けてやったほうが…」一郎は自分で言いながらも、少し抵抗を感じた。いくら追われているとしても相手はセクター。彼の親友であった中野を殺した相手なのである。
「どうしますか?」レオは一郎の決断を待っているようであった。
「助けよう…、セクターだからって見殺しにしたら後味がわるいからな…」
「解りました」レオはエクスの攻撃態勢を完全に解除して、逃げる機体に接近し、追尾するセクター達の前に立ち塞がった。
エクスへのレーザー砲がセクターから発射される。エクスは、その攻撃が逃亡中の機体に当たらないように防御する。エクスの装甲は頑丈でセクター達の機体に装備された並の武器ではビクともしなかった。
「レオ、脅してやれ!」一郎の言葉に応えるように、エクスは指先から閃光を放ち、セクター達を攻撃した。その光は、セクター達の機体を照らすと、徐々に装甲を溶かし始めた。
それは、このまま攻撃を続けるなら、容赦はしないという警告であった。
セクター達はエクサが放った光の中から飛び出すと、逃亡者の追撃を諦めて姿を消していった。
「レオ、アイツを確保しろ」一郎の声を合図にしてエクスは逃亡していた機体を両手で掴んだ。
「なんだ…、これは?」一郎は目を見開いた
。捕獲した機体の操縦席の辺りを確認しすると、人間の女のような姿が見えた。
女は意識を失っているようであった。
「どうしますか?」レオが問いかけてくる。
「ひとまず、連れて帰ろう…」それしか選択肢はないであろう。エクスは女を乗せた機体を抱えたまま、帰還してしていった。
紅のエクス・フェアリス 上条 樹 @kamijyoitsuki
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