第36話 バックアッププラン・B

慧仁親王 京都御所 1522年


 はい、皆さんおはようございます。今日は朝からホットなニュースが飛び込んで参りました。あのロリでキュートな姉様が、若狭武田家を落としたそうです。


「え、何、それどう言う事?」


 昨日の朝に分かれたばかりです。そんな素振りを一切見せずに……どう言う事?


「今、伝えた通りです。若狭武田が落ちました。落としたのは姫巫女様です」


 当然の事の様に、一切の動揺も見せずに伝える雅綱。大人だぜ。


「それも、誰一人として血を流さずに成し遂げたそうです」


 お、俺だって、細川両家を戦わずして御したけどね。しかし、驚いた。俺も動かなきゃな。


「雅綱、陛下に拝謁したい。予定を聞いて来てくれ。弥七、ちょっとお願いが有るんだけど」

「御意」

「何で御座いましょう」

「半三に連絡が取りたい。お願い出来るか?」

「畏まりました」


〜・〜


「大変ご無沙汰いたしました。本日は後拝謁賜り……」

「ああ、そんな事は良い、良い。どうだ、変わりないか?」

「はい、お陰様で、この通りで御座います」


 サービスするか。


「じいじ〜」


 と、あざとくお爺様に抱きつく。


「あ〜、分かった、分かった」


 と、満更でもなさげにニヤつきながら、膝の上に乗せる。


「じいじ、姉様の噂、聞きましたか?」

「ああ、聞いた聞いた。驚いたね。天皇家の御料地を取り返してくれた様じゃ」

「へ〜、御料地だったんだ。なる程、だから若狭だったんですね。凄いですね」

「お前の所にも寄ったんじゃろ?」

「はい、姉様にも天照大御神様の啓示が有ったそうですよ」

「何と!真実か?」

「はい、それで今後の事も話をしたのですが、若狭でこんな事するとは聞いてなかったです、も〜」

「こんな時代じゃ。天照大御神様も我ら子孫に、御使いを2人も送って下さったのじゃろうて」

「じいじから見て私の行いは、今の所いかがですか?」

「ん〜、方向性は間違ってはおらんのじゃろ。お前の行動基準はなんじゃ」

「民を笑顔にする事です」

「うぬ、それさえ忘れなければ、間違う事はなかろう。いつも朕が見てようぞ」

「有難き幸せに存じます」


 一応、最後は膝から下りて、平伏しました。


「毎回申し訳ありません、お願いが有って参りました」

「何じゃ、言うてみなさい」

「はい、勅願寺の指定の取り消しをお願いに参りました。お爺様の顔に泥を塗る形となりますが、日の本の民の為と思い、是非にお願いしとうございます」

「いくら何でも、それは無理かな」

「では、武装解除に応じない寺院にのみで構いません。お願い出来ませんか?」

「それならば高国と話してみようかの」

「じいじ〜すき〜」


 サービスタイム、延長入りました。


「慧仁、さすがにあざといぞ。ハハハハハ、嫌いでは無いがの」

「雅綱、連れて来い」


 隣の間に控えていたのか、直ぐに戻って来た。


「陛下〜」


 秘密兵器、永寿女王の登場だ。


「じいじ〜」


 大サービス、永寿姉様とのダブルアタックで陛下はメロメロだ。姉様、ここは平和です。

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