第9話 すんなりとのすんって何ですかね
慧仁 京 御所 1522年 正月
「高国どうじゃ?国の政の頂点じゃ。其方には武力もある、朝廷の後ろ盾もある。其方に戦を仕掛ければ朝敵じゃ。易々と戦も仕掛けられまい。」
高国と話しがしたかったので、お爺様に呼んで貰った。
「陛下の仰る通りです。」
「で、まだ戦がしたいか?もっと領地が欲しいか?」
「いえいえ、滅相もございません。些かホッとしました。」
「うぬ、慧仁から其方に頼み事があるそうじゃ、可愛い孫の頼み事を聞いてやってくれぬか?」
「はっ、私で出来る事なら。どの様な事でしょう。」
「兵を3000ほど貸して欲しい。」
「兵をですか?何故かお聞きして宜しいですか?」
「和泉と淡路島が欲しい。堺が欲しいのだ。海が欲しいのだ。三好を脅して直轄領にする。」
「目の付け所が宜しい様で。畏まりました、御意に。」
「では、準備が整ったら知らせてくれ。」
部屋に戻って今後の予想できる展開なり、寒すぎるから布団欲しいなとか、となると綿花だよな、松平かな今川かな、鰻の蒲焼が食べたいな〜とか、鰻と言えば浜名湖だよな、浜名湖は松平だっけ今川だっけとか、取り留めの無い考え事をしていると、人の気配が近づいて来た。
「作兵衛に御座います。」
雅綱を見て頷くと、雅綱が襖をスーッと開ける。
「入れ」
作兵衛が1組の男女を連れて入って来た。
「早速ですが、先日お話しされた連絡係を連れて参りました。ご挨拶を。」
「作兵衛が息子、弥七に御座います。」「作兵衛が娘、キヨに御座います。」
風車の弥七キター!!っな訳ないか。
「うぬ、慧仁だ、宜しく頼む。一応、弥七は雅綱の従者、キヨは飛鳥井家の縁者としてしかについてくれ。」
「御意に」
「そして、大工、野鍛治職人、炭焼き職人を外に控えさせております。」
「お、待っておったぞ、雅綱。」
雅綱が戸を開けると3人の若者が控えていた。
「ずいぶん若いな。」
「殿下から若いなどとのご指摘を受けるとは思っても見ませんでした。ご挨拶を」
作兵衛が3人に挨拶を目で即す。
「大工の大作に御座います。」「鍛治職人をしております、カイジに御座います。」「炭を焼いております、炭治郎に御座います。」
「うぬ、よくぞ参った。慧仁だ。宜しく頼む。しか、キヨを連れて何か濡らした布とお茶を持って来い。そこからで良いから上がって貰え。京の正月は寒いからな、済まぬがなるべく早く。」
「いえいえ、そんな勿体ないのでこちらで」
「俺が寒いんだ。雅綱、この前の例の物を。」
「御意」
「ところで作兵衛、息子達は武術は?」
「2人とも仕込んであります。我が子ながらなかなかの物と。」
「うぬ、助かる。」
3人が足を拭いて、恐る恐る部屋に入って戸を閉める。
「まず、カイジ、これを作れるだけ作って欲しい。」
黒板に描いた備中鍬とシャベルの絵を見せる。
「この板ですかい?」
「いや、描いてある絵の方だ。これは春までに田んぼを作る際に必要となる物だ。」
丁度いいので、田作り行程を話す。
1月は調査。昨年の各家の米の出来高を記録をする。
全ての田んぼを潰して、改めて土地が四角くなる様に整地をする事。
その際に使う備中鍬とスコップをカイジに作って貰いたい事。
今年は直撒きではなくて、稲をある程度育ててから田植えをする事。
種籾は塩水選して良い種籾を使う事
田植えの時にババ引き、大きいトンボの様な物を使って線を引き、交点に苗を植える事
その際に使うトンボの様な物を大作に作って貰いたい事。
を、予め作っておいて貰った黒板を使って説明した。
また、炭治郎には、とにかく木炭と竹炭を1対2の割合で作って欲しい事。
人手は京から流れ着いた人に希望を聞いて、田作り・大工・鍛治・炭焼きに割り振って欲しい事。
などなど、思いつく限りだ。
そして、もう一度、2月中には大原に移住する事を話して終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます