第6話 みんな大好きだよね?忍者登場

慧仁 京 京都御所 1521年 師走


「殿下、お呼びと伺いました。」

「ん?其方は?」

「私は大原六村をお預かりしています、作兵衛と申します。」

「私は八瀬童子の鷹丸と申します」

「ほう、志能備の者か。その方らに会うのを楽しみにしてたんだ。俺は慧仁。宜しく頼みます。」


軽く頭を下げると


「殿下、その様な者に頭をお下げになるなど」

「今だけじゃ。それにこの者らは陛下の部下じゃ。礼を尽くすのはおかしく無いだろ。」

「いいえ、滅相もございません。私どもは天皇家に仕える者ゆえ、殿下に仕える者でもあります。その様な気遣いは無用にございます。」

「そうか、それなら話が早い。話は陛下や親王殿下には通してあるゆえ、今後は私に仕えてくれぬか。」

「もちろんにございます。親王殿下にもそう聞き及んでおります。」

「良かった。今後は家臣として扱う。宜しく頼む。」

「畏まりました。」

「それから雅綱。その者らは今後お前の同僚だ。そんざいに扱うなよ。言葉遣いもだ。」

「御意」

「うぬ。ところでな、その方らは仲が悪かったりしない?」一応、南原先生の線は消しとく。

「はい、隣村同士、協力して生活しております。」

「それなら良い。では、さっそく今後について話しをしたい。中に入れ。しか、茶だ」


遠慮する二人だったが、内密な話しだし、今後の為にも慣れて欲しいし、何より寒いからって事で無理に部屋に通した。


「まずは、今後の役割だが、八瀬童子は京の情報収集をしてもらう。陛下や親王殿下に報告した事は全て俺にも報告して欲しい。

年が明けたらで良いので、俺専用の連絡係を1人つけて欲しい。良いな。」

「御意に」

「作兵衛。まずは今後の為にも人手が欲しい。京より戦災を逃れて大原に流れ着いた者が多かろう。その者らを囲い込みたい。その者らを銭で雇い、その者らの住処を多めに作らせてくれ。とりあえず寒さを凌げれば良いだろう。銭はこちらで持つ。」

「畏まりました。」

「年明け3月にでも大原に移り住みたい。追って指示を出す。心しておいてくれ。そして同じ様に年明けにも俺専用の連絡係を1人つけて欲しい。」

「はい」

「次に、早急に大工3人、3月までに野鍛治3人、炭焼職人3人を探してくれ。見つかり次第、俺に指示を仰げ」

「はい」

「くれぐれも内密にな。」


「鷹丸には届けて欲しい手紙が有るから残れ、作兵衛はご苦労だった、下がって良い。早急に事に当たってくれ。」

「それでは失礼して下がらせて頂きます。」

「うぬ、雅綱、手紙を書く、宜しく頼む」

「御意に」


鷹丸と2人きりになって空気が重いので、雅綱の準備が整うまで、しばし雑談。


「鷹丸、俺を見て驚かなかったな。」

「いえいえ殿下、十分驚きました。」

「いやいや、平然としてたぞ」

「そう言う訓練をいたしておりますので。」

「そうか、俺はその方らに会うのを、昨日から楽しみにしてたんだ」

「その様には見えませんでしたが。」

「ハハハハハ、しばし待っておれ、手紙を書いて来る。」


雅綱に手紙を書いてもらい、鷹丸の元に戻る。


「この手紙を、三井寺の菊寿丸に届けて欲しい。年内にも会って話がしたいとの手紙だ。出来れば護衛がてら道案内してやってくれ。」

「御意に」

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