黒猫に運ばれる小娘

 おっきなおっきな黒い猫ちゃんの、おっきなおっきな赤いお口。


 がぱぁ!


 って感じで開いた所までは覚えてるの。でもその先は思い出せない。

 起きた時には柔らかいベッドの上。でも私のベッドじゃない。こんなに黒くてゴツゴツしてないもの。しかも動いているし。

 こんな時にはアレだよね、アレを言うんだよね。


「ここはどこ!私は誰!」

「ボクの背中で君は夜花だよ」


 本当に誰。


「■■■ってことでいいんじゃない?もしくは■■■■」

「ダメだよそれ、ダメ絶対」

「じゃあ君が名付けてよ」


 え、いいの?

 ……黒猫で、私を運んでるから……。


「■■■」

「さっきの言葉、君に返すよ」


 ダメらしい。

 その後もゆるゆる話し合った結果、『黒猫さん』に納まった。

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