第3話 上映会

6月13日 天気くもり? AM4:23〜

 目が覚めた。

 窓から見える景色は、まだ薄暗く灰色だ。眠くは無いが、気分が悪い。体を起こそうと力を入れるが、胴体どころか腕すら動いてくれない。次第に面倒になり、そのままでいることにした。病室には、私以外誰も居ない。誰からも観られる心配も無いし、気にする必要も無い。そう思うと少し気分が楽になった。

 疲れる毎日だった。

 家や外、学校でも、私は誰から観られている気がしていた。人の視線が暗くて怖く

言動一つ一つが監視されているとさえ思えた。常に笑顔でいる事、相手の機嫌を伺い嫌われない用に気を配り続けて過ごしていた。

 ほんと私はバカだった

 死ぬとわかっていたなら。こんな無駄なことやめればよかった。

 自身の為に生きてこなかった後悔、相手の事ばかり気にしていた惨めな自分が、思い出となって頭の中で映画の用に再生される。

 それは、どんな映画よりもつまらないものだった。


 

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