第3話➖goodbye授乳!

「リック!、早く起きななさい!」

 今日もいつも通り母親の甲高い声で目を覚ました。

 僕は寝起きの体の重さを感じながら、階段を降りていった。

 いつも通り、テーブルには軽い朝食が置かれている。

 僕は眠い目を擦りながら朝食をほうばり、過去の出来事を振り返る…


 僕が転生した日から3年が経ち、僕は3歳になった。前世の知識があるからか、それともこの身体のスペックが高いからかは分からないが、自分は年齢の割に成長が早かった。

 それもまた、運動能力だけでは無く、読み書きや言葉を習得するのも早かった。

 僕はこの歳ですでに、はいはいだけにとどまらず、歩く事を卒業し、走る事もできるようになっていた。

 言葉は転生後にはすでに理解できていたのでノーカウントとしても、この国の文字は読み書きはすでにマスターしてしまった。

 この国の文字は前世では見たことの無いような筆記体だった。文字というより、記号に近かったかもしれないな、

 前世で言ったら象形文字のような見た目かもしれない……

 普通に覚えるのなら苦戦するだろう。

 しかし、僕は生まれて3日後には滑舌も良くなってきて両親と会話ができるようになっていたので、文字は両親に教えてもらえた。やはり人から教えてもらう方が何事も習得しやすいのだろう。

 急に喋り出して、親はびっくりしなかったかって?

 もちろんしたさ。 初めて自分の息子が喋った言葉がパパ!やママ!でも無く、

「天上天下唯我独尊!」だもの。

 あの頃は若かった……

 とりあえず一発かまして、リアクションを見てみたかった。

 ほんの遊び心だった…それから親は血相を変えて僕を協会の神父の元に連れて行った。僕に悪魔が取り憑いていると思ったらしい。

 でも僕には悪魔は取り憑いていなかった。それが分かると、親は僕を神童ともてはやし、ご近所に自分を連れ回して自慢した。

 あれはキツかった……

 何しろ50件近いうちを回り、一件ごとに自己紹介をさせられたからなぁ。

 最初はそんな事もあったが、それからは目立ちすぎない様に、出来るだけ普通の赤ん坊を演じた。

 でも、うちの書庫を読み漁っているのがバレたり、一人で立ちしょんべんをしてるのがバレたり、色々大変だった……

でも1番残念な事があるんだ。

 それは歯が生えるのも早くて、

生後3か月には普通の食事ができるようになってしまった事だ。

 何が残念かって?

 それはもちろん乳を吸わせてもらえなくなるからさ。合法的に乳を吸える機会など、そうそうあるものでは無いもの!来世は生後20年は歯が生えて来なくても良いと思ったよ。


 という感じで、成長が早いというのも、良い事ばかりでは無かった……

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