第12話 勘弁してよ

「あ〜 笑い過ぎて苦しいわ」


「そんなに笑わなくても良くない?」


勘違いを思いっ切り笑われてちょっと恥ずかしくなってきた。普通、恋人が告白の仕方なんて調べていたらそう考えるだろう。


「よしっ じゃあ本題な」


「え? ちょっと待って」


「怜 好き。」


たった一言のシンプルな言葉が頭の中に響いた。改めて言われるとかなり照れる。しかもさっきまで笑っていた人が急に真面目な顔で言うから尚更だ。顔が真っ赤になっているのが鏡を見なくても分かる。でもこれだけは言わないといけない。


「僕も大和の事好きだよ」


「まぁだろうな 」


「返事軽すぎない? 」


「事実確認みたいなもんだし」


そう言われても信じられなかった。ただの事実確認なのにこんなに真面目な顔にはならないだろう。だからかただの照れ隠しにしか聞こえない。そうなると愛おしくて仕方がない。たまには、そう思って大和に思いっ切り抱きついた。


「ちょっ... なんだよ急に」


「大和が可愛くてどうしようもない」


「は? 可愛くは無いだろ」


そういう所だよ、とは流石に言わなかった。気付けば大和の腕が背中に回されていた。


「......怜。 そろそろ限界。」


「え? 何が?」


言い終わるのが早かったか、大和が行動に移すのが早かったか。鎖骨の辺りにキスをされている。いやキスにしては長すぎる。もしかしてキスマークでも付けられているのだろうか。体感的には数分間はそのままだった気がする。実際は数秒なのだろうが。


「よし 綺麗に付いた」


「え!? もしかして...」


「キスマ付けたけど?」


しれっと爆弾発言をする。慌ててスマホのインカメで確認すると綺麗に赤い痕が付いている。しかも服で隠れるかどうかギリギリの位置。


「ちょっと大和 何やってんの...」


「ん〜? 悪い虫が付かないようにしといた」


「はぁ? 」


「取られたら困るし」


「まぁいいけどさ」


つまりはマーキングされているという事だ。本当は怒りたいけど幼なじみであり初恋の相手でもあるからかつい許してしまう。


「先に言っておくと怜を一生離す気無いからな? 」


「僕も離れるつもり無いけど?」





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君は綺麗だ 千莉 @seri_R

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