調査結果報告書




20■■年9月7日(火)



    一重家 調査結果報告書





 目的

  一重家失踪原因の特定。

 対象

  一重 悟(ひとえ さとる) 男性 満八歳

  職業:小学生

 方法

  ・現場調査

  ・所有物調査

 期間

  20◼️◼️年8月5日(木)〜20◼️◼️年8月31日(火)


結果

 一重 悟と呼ばれる男児の存在を発見することはできなかった。出生届も出されておらず、戸籍謄本に記載も無し。通園歴も通学歴も確認できない。しかし母親の産婦人科への通院歴は存在しており、何らかの痕跡は発見。だがその産婦人科は八年前に廃業しているため、カルテなども残留なし。建物自体も火事によって全焼。院長、看護師については行方不明である。

 しかし一重 悟氏の所有物と思しき残留物は発見、別紙に添付。またその関係者と思しき方々の消息に関しては、下記に記載。


 父:一重 慎吾 

 母:一重 美智子 (旧姓:東野宮)

  両者共に存在しているが行方不明。


 祖父:一重 茂

 祖母:一重 佳子(旧姓:東野宮)

  両者共に現場調査時、遺体を発見。損傷が激しく、下半身が未発見。死亡したと推測されるのは約五十年前。



 上記の四名以外の血縁者及び関係者についても、逃亡、もしくは既に絶縁関係であり、存在が確認できたが、手を尽くしても直接接触は不可だった。

 一重 悟氏の所有物だと思しき残留物は、祖父母が所有者である家で発見。家自体は既に廃屋と化しており、内部に残った雑誌類などから約八年前に出ていったと推測される。また祖父母の遺体は吊るされていた形跡が残っているが、それが直接の死因ではないと検死報告書には記載されている。

 また調査員の五名の内、三名が原因不明の重傷。残りの二名が調査中に死亡。

そのため調査継続不可とし、本件における調査はここで打ち切りとする。


追記:

 重傷者三名の内、二人は自死。検死報告書によると病室において、首吊りを図ったとされるが直接の死因は下半身切断による多量出血である。なお三人目の調査員に関しては病室から逃亡したとのこと。未だに行方不明である。

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