2 旅館案内
「本間様、長旅お疲れさまでした。それでは当旅館をご案内させていただきます」
マナミさんは急に敬語になって僕に話しかける。
今日はお客様として対応すると言っていたが、本当にそのつもりらしい。
何だか逆に落ち着かない気もするが・・・どうしよう?
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1.「マナミさん、話し方くらいはいつも通りで良いから」
僕は調子が狂うのでいつも通りの話し方をお願いした。
2.「うむ、では案内してくれたまえ」
折角マナミさんがその気になってるので僕もお客様として振る舞うことにした。
(現在製作中)
→1.を回答
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「マナミさん、話し方くらいはいつも通りで良いから」
僕は調子が狂うのでいつも通りの話し方をお願いした。
「本間様がそうおっしゃるなら・・・。いつも通りの口調でご案内するよ、カネちゃん」
マナミさんの態度が元に戻る。
僕は改めて祝旅館を見渡すと、入口の隣に小さな売店が併設されているのが見えた。
「あれが祝旅館の売店所だよ。日用雑貨や缶詰、カップラーメン、ジュースや酒類、真空パックの漬物等の日持ちする食料品などを売ってるんだ」
僕は興味を持ったので、旅館に入る前に売店を見学させてもらう事にした。
「へえ。結構色々な物を売ってるんだね。コンビニよりは小さいけど、駅のキオスクよりは大きい感じだね」
「うん。ここら辺一帯は大きなスーパーやコンビニは相川町の中心地まで行かないと無いからね。ウチは大きなワゴン車を持ってるから、食材の仕入れをしたついでに相川などのスーパーで日用雑貨や日持ちする食料品を買って、そこから2~3割位料金を上乗せして販売してるんだ」
確かに商品の値段を見るとそこそこ割高ではあるが、ガソリン代や手間暇を考えると良心的な値段と思える。
「この売店は寒戸関村や両隣の集落の人が利用してるの?」
「うん。後はもちろん宿泊のお客さんも利用するよ」
「ああそうか。宿泊している所に売店が有ればお客さんも何かと便利だよね」
「あとね、ウチは手作りの料理を提供する旅館だけど、予約なしの飛び込みで宿泊のお客さんだと、食材が余ってない場合夕食を用意出来するのは難しい。
何か自分で弁当とか持ってきていたら問題ないけど、そうでない場合ここら辺一帯は飲食店もコンビニも無いからここの売店でカップラーメンや缶詰を買って貰って夜ごはん代わりにしてもらうんだ。
また”余り物で良いから何か作ってくれませんか?”ってお客さんも時々いる。その場合はご飯と味噌汁だけ作って、後は売店の缶詰の魚や、真空パックの漬物などをそれっぽく盛り付けると見た目だけはちゃんとした夕食に見えるんだ」
「なるほど。結構色々な応用的使い方が出来るんだね」
「カネちゃんの今日の晩御飯はちゃんと手料理だから安心してね」
「ありがとう。そう言えば今日の宿泊客って誰かいるんだっけ?」
「・・・いるよ。一名様だけ。北さんって常連さん」
何気なく聞いたつもりだったが、マナミさんはちょっと言い淀む様に答えた。
「30代前半位の男性のお客さんだよ。何年か前からたまに祝旅館を利用して下さってたんだけど、一昨年位前からウチに泊ってくれる頻度が増えてきてるんだ。今日はまだ帰ってきてないみたいだね・・・。多分カネちゃんも一番接する機会の多いお客さんになると思う」
マナミさんはどことなく言葉を選んで僕に説明してくれている様に思えた。
「えーと、その北さんってどういうタイプの人なの?」
僕は少し気になって尋ねた。
マナミさんの説明が少し歯切れが悪いのが気になる。
もしかして問題のあるお客さんだったりして・・・。
「フリーライターの仕事をしている人だよ。フルネームは、【北 輝久 (きた てるひさ)】さん」
マナミさんはフルネームをメモ帳に書いて見せてくれた。
僕は辺りを見まわして誰も居ないのを確認してから小声で尋ねた。
「あの・・・。もしかして問題のあるお客さんだったりする?」
「お客さんとしては問題ない方だよ。小さなことでクレームとか言わないし、性格も気さくな感じ。
あとは他にお客さんがいる時なんかは、夕食時はそのお客さんと仲良くして場を盛り上げてくれたりもする。
昨日までいた大学生の団体客にもビールや日本酒、焼酎を奢ってくれたらしいよ。気前の良いお客さんでもあるんだ」
うん?話を聞いている限りむしろ理想的なお客さんの様に思えるな。
僕は確認してみる。
「それじゃあ、何の問題も無いどころか良いお客さんって考えて良いのかな・・・?」
「・・・そうだね。その認識でOKだと思う」
マナミさんの言い方がどことなく含みを持たせる言い方に聞こえる気がするんだが・・・。
・・・ん?待てよ?
今日一日色々な情報に接してきたが、その北さんって人の情報が何処かで出てこなかったか?
うーん、思い出せそうで思い出せない・・・。
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1.僕は頑張って思い出そうとした。(現在製作中)
2.いや、多分その様な情報は無かったと思う。
→2を回答
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いや、多分その様な情報は無かったと思う。
今日一日で色々な情報に接してきたので色々と混同しているだけかも知れない。
「それよりさ、カネちゃん。まずは荷物を置いて、一休みしなよ。今日は客室も空いてるから、好きな部屋選んで良いよ」
確かにそうだ。
僕はお言葉に甘えることにする。
「客室は1~3名様泊れる部屋が一階に1部屋、二階に4部屋。最大8人位の大人数が泊れる大部屋が二階に1部屋あるよ。そのうちの二階の1部屋を北さんが使用中だから・・・残りの好きな部屋を選んで良いよ」
僕たちは祝旅館の玄関から旅館内に入る。
玄関から入ると正面に15畳位ある食堂、左手には二階へ上がる階段が見えた。
「一階の客室はあの食堂の向こう側の部屋に一つあるよ」
食堂を通過し、客室を見ると6畳プラス窓際に1畳半ほどの客室があった。TVにちゃぶ台、電気ポット、窓際にはリクライニングチェアーが二つとその間に小さなテーブル。押入れの中には布団が入っている。
よくあるオーソドックスな作りの客室だ。
「二階の部屋も大体こんな感じの造りだよ行ってみようか」
再び玄関先まで戻って今度は二階の部屋へ良く。
二階には一階にあった客室と同じくらいの部屋が4部屋。
一階の食堂と同じ位の大部屋が1部屋。この部屋は大きいな。
マナミさんの話だと2階の6畳サイズの部屋の一つを北さんが使っているらしい。
「今日は空き部屋ばっかりだからね。カネちゃんの好きな部屋選び放題だよ。何だったら二階の大部屋を一人で独占しちゃう?」
「いや、それはそれで何だか落ち着かないな。最初に見させてもらった1階の客室を使わせてもらって良い?」
「分かった。じゃあそうしよう」
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