フィクサーは仮面の下で嘲笑う

笹篠巴

プロローグ

腐ってる。


いつも思うよ。僕、間崎解は八月十一日という夏も終わりに近づいてきた頃。学校でリア充と呼ばれる者たちを見ながらつくづくそう思う。


インドなどの国のカースト制度は授業で習って知るのに、クラスカーストは習わずとも知っている。


机に伏して、彼らを眺める。


クラスの中心に立つ好青年がいる。


上原光輝。


清潔感があり、顔も整っていて、金持ち。モデルのような体に少し着崩した制服で美男や美女に囲まれている。


スカした野郎だ。


羨望の眼差しや嫉妬の眼差しは多いだろう。そして、嫉妬の視線は知らぬふりをする。


だけど、それも今日で終わりだよ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



いつだっただろうか。僕はいじめられていた。暴力はなかったが仲間外れや暴言は当たり前だった。


僕も少しずつ壊れていった。


親には迷惑をかけまいと隠し通した。


そんな、ある日僕は告白された。


学園一の美女こと、相葉クレアさんに告白された。八分の一アメリカ人で整った顔立ちで親は警察署の副署長で金持ち。男子が立ち止まるほどの美貌を持つ彼女に告白された。


でも僕は彼女に興味はない。無駄だ。どうせ、罰ゲームだろ。知ってんだよ。階段でたまってよ。喚きやがってよ。だから、振ってやるよ。


「あの、私あなたのことが好きでした。付き合ってください。」


何口角上げてやがる。隠せよボケ。


「ごめんなさい。」


それだけ言って、校舎裏から帰ろうとしたらそれを見ていた男子生徒に暴力を振られた。


ボロボロになり、精神的に壊れていた僕は川の流れる橋の上に立っていた。


空を見上げると、黒い大きな雲が空を覆っていた。そして、ぽつりぽつりと雨が降り出した。


死ぬにはいい日だ。


手すりにのぼり、体を前に倒す。


「さようなら」


それだけ呟いて、川に落ちていった。


しかし、僕は目が覚めると自分の部屋にいた。殴られた場所は傷んでおらず、何もなっていなかった。


服を脱ぎ、洗面所で体を確認する。すると、左胸に謎の数字が刻まれていた。


掻きむしっても消えることはなかった。


すると、耳鳴りがして誰かの声が聞こえる。


「おめでとうございます。あなたは抽選に選ばれました。その数字はあなたが叶えることができる願いの数です。楽しい人生を過ごしましょう。」


この声には聞き覚えがあった。


僕の声だ。


まぁいい。


僕も手を下したい奴らがいたんだよ。


殺し合ってほしいな。


じゃあ、デスゲームでもしようか。


この腐った日本の再生を賭けて、そして、日本の未来を賭けて。この僕が今からルールだ。


ゲーム開始日は八月十一日。

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