後宮の花は死んで前世を思い出したので自由に生きます

三園 七詩【ほっといて下さい】書籍化 5

第1話後宮の花

「はぁ…」


王蘭は誰に見られてるわけでもないが口を隠してため息をついた。


王蘭は見た目と家柄から後宮へと入る事を許された。


後宮に入れる事を両親は泣いて喜んでくれ、家にあった高価な家具など全て持たせてくれた。


王蘭はそんな両親の気持ちに応えたいと淡い気持ちを胸に抱きこの後宮にやってきたが待っていたのは辛い現実だった。


家柄が低いため周りの后紀候補からは邪険にされ自分の居場所など何処にもなかった。


高貴な出の后妃候補達がたくさんの女官を引き連れる中…自分に付いたのはたった二人。


皇帝陛下はこの後宮には寄り付かず……まだ一度も拝顔すること無くただただ意味の無い日々を送っていた。


自分の生きる意味がわからなかった……唯一の楽しみは後宮に咲く花を楽しむ事。


今日もため息をつき花を見に行こうと一人散歩に出ると花が無惨に踏み荒らされていた…見れば後宮の女達がこちらを見て笑を浮かべている。


王蘭はかけ出すと一人になれる場所を探した。


少し離れた場所にある池にたどり着くと橋の上から自分の姿を覗き込む…


そこには不幸な女が映し出されていた。


水面に映る悲しそうな女性に手を伸ばす…


誰も救い出してくれない彼女の手をつかもうと身を乗り出すと、王蘭はそのまま池へと落ちていった。


池は思いの外、深く身につけた衣服が水を吸い込み自力では上へと上がれないほどに重くなっていた。


しかし王蘭に上へと上がる気はなかった…


全てを諦めるように上を見上げると太陽の光がキラキラと反射していた。


あれ?私この光景…前にも見た事が…


しかし王蘭はその事を思い出す前に意識を失っていた。

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