第5話



「本当にこれでいいのか?」


「問題ない。俺たちならやれる」


「そうは言うが……」


 ペンドが見た先にあるのは、攻撃特化の人員が大半で防御役が少ない布陣。

 

 一般的に考えなくとも無謀なこの布陣。それでも俺はこの形を選ぶ。


 なぜなら……


「俺達の底力は、スタンピードごときにやられるようなもんじゃないだろう?」


「……それを言われちゃやるしかないな」


 ペンドの目に強い光が浮かび上がる。こうなったペンドはもう止まらない。


「お前ら聞いたか!俺達の底力、見せつけてやるぞ!!」


「おー!」


「ジャック一人に美味しいところは持っていかせねぇ!」


「リリスちゃんへのアピールチャンスだ!!」



 待て。変なのが混じったぞ。



「リリスは渡さないからな?」


「ウッス!」



 ……絶対ちょっかいかけるんだろうなぁ。


 まあいいか。とりあえず俺も本気でいこう。



「Sランクの力、見せてやるよ」



・~・~・~・



「オラァ!お前らどうした!ジャックに負けちまうぞ!」


「それは許せん!!絶対あいつよりいい戦績を出すぞ!」


「おー!」





 いや、あのさ?いくらなんでも俺に対する闘争心強すぎない?確かに今は俺がトップの戦績出してるよ。一人でモンスター二百匹くらい倒したさ。



 でもな?


 君たちだってもう数千匹は倒してるよね!?正直異常なくらいモンスター沸いてるからいいけど倒しすぎでしょ?


「なあジャック」


「なんだ俺に対する闘争心を高めさせた元凶さん?」


「そんなもんお前と話すために決まってんだろ」


 いつもならここで「やだ嬉しい~」とかボケるんだが、流石に場をわきまえる。


「やっぱり気になったか?」


「当然だろ。いくらなんでも多すぎだ。通常の五倍はいくぞ」


 普通のスタンピードは多くて二千匹、少ないと五百匹くらいのモンスターがでる。それが今回はもう九千は越えている。あと少しで一万だ。



 ハッキリ言おう。前代未聞だ。



「どうやったらこんな状況になるんだ?」


「……思い当たる節がひとつある」


「何?」


 これは、考えたくない最悪のケース。だがもう、これしか可能性はない。


 それは……


「スタンピードの元凶が、とてつもなく大きな力を得た場合。それこそSランクくらいの」


「おい、まさか……!」


「リリスが取り込まれた可能性がある」



 

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