第25話 ガルガ王
おれ達が、ガルガ王国に入ってすでに1日が経っていた。
残念ながら、おれは今だ拘束されたままだ。
馬車の窓を見ていて、分かった事がある。
この国、ガルガ王国はかなり裕福な気がする。
というのは、通り過ぎた町や村に人が多く出歩き、活気があるという事だ。
さすがに女性の単独の出歩きは見ないが、ある町では数人の男達に囲まれた女性がなん組か、見受けられた。
また、途中にあった耕作された畑の数や林や森は緑でカイオスのような荒れ地は、全く見る事が出来なかった。
「何を見ているんだ?」
また、キラキラ睨み男子
カイオス国境からずっと煩いのだが、喋りたくないのでずっと無視してる。
「なあ、聞きたい事があれば答えるから話さないか?」
「………………」
ふん、あったとしても、お前らから聞くもんか。
「ほ、ほ、ほ、だいぶ嫌われましたな」
「あんたは、黙っていてくれ!」
なに、焦った顔で伯爵に怒鳴ってんだ、この嘘っぱち騙し男子は?
「まあ、どちらにしても間もなく王都です。城に着けば、貴方ともお別れだ。乙女はもう、ガルガ王の妻になられるのですからな」
「っ、わかっている!」
「……………」
ああ、またか。基本、男は願い下げなんだがな。
ん、あれか?遠方になにやら城壁らしきものが見えてきたが?…
「おお、あれですぞ。乙女が見ている方向に城壁が見えるでしょう?あれが王都ですぞ」
あんたらに、聞いてないって!
なんだ?嘘っぱち騙し男子!おれをなんで悲しそうに見る?
お前の望んだ展開だろ?!
ふん、どんな顔したってもう二度とお前を信じないからな!
◆◆◆
「やあ、随分久しぶりだねぇ、ええと?第五王子だったか?」
「カイエンです。ガルガ王」
嘘っぱち騙し男子が膝を付いて、恭しく顔を上げた。
◇◇◇
あれから、おれ達はLTDの○ンデレラ城に似た、けれども3倍は大きなハデな城に着いた。
縛っていたロープは、ほどかれた。
すぐに謁見の間に通され、ガルガ王に面談となってそのまま会うことになったんだけど、このガルガ王ってなんかいけ好かないんだよ。
なんでかって?だっておれの事、全く見ないんだよ、なにコイツ?
髪は淡いグリーンで肩までのロング、目はかなり細目で肌は色白、細身だけど200cm位の長身だ。(この世界では平均)
なんか、だらっとしたフード無しローブみたいな服を着て、椅子に片肘をついてる。
23~25歳くらいか。
それで周りに三人の薄着の女性を侍らせてる、ハーレムかよ!
たく、別に羨ましいとか思わないからな。
一人は、水?酒か?を持って、一人は、なんか、お盆に切った果物かな?
もう一人は、ヤツの足の爪?を切らせてるのか。
なんか、おれの一番嫌いな王様タイプじゃん。
いや、王様か。
「そうだったねぇ、カイエン王子。で?何用で来られたの?」
「貴方に嫁いだわが姉、メリダを引き取りにきました」
「メリダ?」、ガルガ王は記憶が無いのか、天井を見て考え出した?
「先般、私めがカイオス王国から連れてきた女です。歩けなくなった」
ガルガ王は、思いついたように伯爵を見た。
!「ああ、あの壊れたヤツか?!」
は?アイツ、今、なんて言った?
嘘っぱち騙し男子が震えながら、ガルガ王を睨む?!
「いいよ、もういらないや。持って帰ってよ。それ、代わりだよね?」
それ?!おれを見たと思ったら、それかよ!
おれは、物じゃないぞ!
コイツ、最低だ。
その時、ガルガ王の顔が一瞬、苦悶に歪んだ。
「お前!痛いじゃないか!」
「はひ、お、お許しを!ぎゃっ?!」バシッ
え?ガルガ王が爪を切らせていた女性を、蹴った?!上段から女性がおれの方に転がり落ちてくる?!受け止めないと!
がっ、「くっ!」、なんとか受け止めたけど、え、重い?!「うわぁ!」ドサッ。
「乙女!」
くそ、やっぱり自分よりデカイ女性は重いや、おれは、受け止めきれずに一緒に倒れ込んだ。
嘘っぱち騙し男子が、慌てて駆け寄ってくる。
なんだよ、いまさら心配そうな顔するなよ。
お前の手助けなんか受けないぞ!
おれは、嘘っぱち騙し男子の手を払った。
ヤツは情けない顔をしたが、知るか。
女性は、気絶した。
ガルガ王、なんて鬼畜なヤツだ。
は?アイツ!?鞭みたいな物を取り出した?こっちに来る?まさか、この気絶している女性に鞭を振るう気か、は?正気か?!
おれは、慌てて立ち上がり両手を広げて、ヤツの前に立ちはだかった!
「ヤメロ!お前、この女性は気絶してる!」
「!貴様、ぼくの邪魔をするのか?たかが子供を産む道具のくせに!」
「道具?ふざけるな!女はお前と同じ人間だ!お前、なに様のつも?!」バキッ
「かはっ?!」
「乙女?!!」
「陛下!?お待ち下さい!陛下!その者は豊穣の………………」
ああ、何が起きた?なんだ?嘘っぱち騙し男子、なんでそんな必死な顔して…………泣きそうな顔………して………………………………………………………………………………………………………
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