第57話 宵待草
月の雫が落ちて来て
黄色い花を咲かせた夜
星達は瞬き
美しき夜の演出に心誘われ
森の横を流れる小川のせせらぎを聴きながら
河原の岩に腰掛けると
対岸の森の手前で
兎が両手を合わせて立っている
暫くは見つめ合っていたが
とうとう私は負けを認めて
森に帰って眠りについた次の日の朝
宵待草(よいまちぐさ)の花は枯れ
あの白い兎は何処へ帰って眠ったのだろう
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