第53話 真夜中の扉



コンクリートを叫ばせるようなタイヤの音が聞こえる

月明かりのベイサイドロード


爆音とともに

何台もの車が走り去る


真夜中の交差点

今日と明日の時の曲がり角

光と影の中で美しかった思い出は通り過ぎ

溢れるような思いが浮遊する


アクセルを踏み込む港への道で


暗い夜の海は静かに波を寄せて

真昼の海はあんなにも広かったのに

海岸沿いを飛ぶ道路灯に浮かんだ海は余りにも小さく

ひとりぼっちに見えて

永遠の入り口へと車ごと吸い込まれて行く

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