第36話 理会



信じていたものを失った時


私は広い部屋の中に閉じ込められる


その部屋には幾つもの扉があり

どの扉を開けるかは自分自身の責任


この広い部屋の中で

一人思案に暮れていると

後ろにいる人に気付く


その向こうを振り返って覗いて見ると


荒れ果てた荒野に一本の道があり

なんと其の道だけが花を誇っている


そうか

と今更ながらに気付く


私の後ろに立っている人の手を握り

傍に引き寄せる


信じていたものを失った時

信じなければならないものを見つける


私を支えてくれていた人

静かに見守ってくれていた人

信じていてくれた人


理会

と今更ながらに気付く

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