第22話 ちゃんとやり直そうぜ!ーVer.しゅんすけー

「その『好き』とか、『かわいい』とか『きれい』とか………『付き合う』とか、言ってたじゃないですか?」


電話を介しても伝わってくるふぶきさんの『テレ』と『デレ』。


いやぁ、最高だね!!


てか今冷静に考えたらバーで初めてあった同級生の女の子と連絡先交換したあげく、通話までしちゃってるんだよ!俺って実は陽キャだったのかも!!!!


「…………はい。」


そんな現実逃避が長続きするわけはなく、俺は小さく頷いた。


いやー、過去の俺そんなことしてたんだぁー、すごいなー、肉食だなー。


…………はい、気づいてました。内心これやったんじゃないかと思ってました。現実から目を背けてました…。


「それがずっと気になってて、酔っ払った勢いで言ったのか、本気で言ったのかを教えてほしいです。」


うわぁ、ふぶきさんすんごいや。

最初あんなに緊張してたのに、今は全然噛まないや。

しかも早口で話してるわ。

すんごいなー……………。


「……………。」


俺はどう返せばいいのか分からず黙ってしまう。


「教えてほしいです。」


念を押してもう一度言うふぶきさん。


…………べ、べつにこのまま黙ってれば切り抜けられるんじゃねとか、ぜ、全然、おっ思ってなかったし?


その時は酔っていたと思うけど、その時の俺は多分真面目に彼女に告白したんだと思う。


ならば、過去の俺がそんなにまじめにやったんなら、素面の今の俺が逃げるわけには行かないだろ。


「す…です…」


俺は覚悟を決めて、答えを決めた。


「へっ?」


最初は緊張で声がかすれてしまって、ふぶきさんに疑問の声を上げさせてしまったけど、男しゅんすけ、ここは正々堂々叫びます!


「好きです!!付き合ってください!!」


…………捻りないとか言うなよ?つまんないとか言うなよ?


なぁ。こいつどストレートやな。もう少しなんとかないんかとか思うなよ!?


俺みたいな、人生で女の子と話した回数が両手で数えられる位しかない男にはこれが精一杯なんだよ!ちくしょぉー!!!!


てか、俺にしては頑張ったほうよ!!褒められたっていいと思うよ!!!!?


「っ!!!!………………」


電話から微かに彼女の息を呑む声が聞こえたあと、なんにも聞こえなくなる。


あれ、切られた?

もしかして俺の人生初の告白、返事すら貰えずに断られた?


「…………こちらこそ、よろしくおねがいします。」


このままだと俺は病んでしまうところだったけど、ふぶきさんはそんなに鬼畜ではないようで、恥ずかしそうにしながらもそう答えてくれた。


まぁ、断られるのは仕方ないよね。

俺だったら振ってるし……しょうが………な……い……………?


ってえっ!!!?

何!!!?今、こちらこそって言った!!!?


マジですかふぶきさん!!?俺が言うのもなんだけどさ!!正気を疑うよ!!?


一回しか会ったこと無い男の告白受け入れちゃだめじゃね!!!?


「っ!!よろしくおねがいします!!!!!」


俺は困惑しつつも、喜びの雄叫びをあげた。


「もうっ!声が大きいですって!!」


井上 俊介いのうえ しゅんすけ、二十歳。

人生で初めて、彼女ができました。


よっしゃキタコレ!!!!俺の人生は!!!!薔薇色だァァああああああ!!!!!!

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