第14話 読めないんだもん!ーVer.しゅんすけー
「ほら、乗ってください。」
ふぶきちゃんが呼んだタクシーが店まで来て、俺は彼女にその中に押し込まれた。
何かしら!誘拐かしらっ!!?怖いのかしら!
「オッケイオッケイ、ホッケイ選手!!」
俺はまだ朦朧とする意識の中で考えた、渾身のギャグをお見舞いしてやった。
ほら、これで俺を誘拐しようなんて思わないだろ!!
「もうっ!!」
このギャグはふぶきちゃんのお気に召さなかったのか、頬を膨らませてぽこっと頭を軽めに叩かれた。
ここで本気で殴らないあたり、ふぶきちゃんはいい子やなぁ。
「どこまでです?」
運転手のダンディなおじさまがミラー越しにこちらを見ながら言う。
かっけぇ!俺も運転免許取ったらやってみてぇ!!!!
「あぁえっと、しゅんすけさん、お家は?」
「え?住所ですかい?」
俺はいきなりの質問に驚きながらそう返した。
えぇなんで俺の住所知りたいの?
なに、家に入りたいの?
もうやっだん………そうか、タクシーだもんな。
「そうです。」
俺は自分の妄想に自分でオチをけるという悲しいことをやっているのに、ふぶきちゃんは構いもせずそうやって返してくる。
もう!ふぶきちゃん冷たいっ!!
「えぇそんな覚えてにゃいな。あっ!SNSのプロフの自分だけ見れるとこに書いてあるかも!!」
俺は回らない思考をできるだけ回して、発情期のハムスターくらい回して、混んでるマ○クの回転率ぐらい回して考えて、そう叫んだ。
やばい俺さえてるかも。名探偵になれるかも。
「本当ですか?」
「うん。ちょっとまっ寺小屋」
俺は半信半疑のふぶきちゃんにこれまた渾身のギャグを披露して、スマホを探す。
「………私もう突っ込みませんからね。」
えぇ!!ひっどい!!
そんなのボケたかいがないじゃんぁよ!!!!!
「あったあった!………ねぇ、ふぶきちゃん。」
俺はスマホの山ほどあるアプリの中からお目当てのSNSアプリを見つけたはいいものの、困っていた。
「は、ハイなんでしょう?」
どうかしたのかと俺の顔を覗き込むふぶきちゃん。
やべぇ、かわいい。
「これなんて読むん?」
俺は己の直面する、『酔い過ぎて文字が読めない』を彼女に丸投げした。
だってしょうがないじゃん!読めないんだもん!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます