第8話 泥酔ーVer.ふぶきー

「うぐぅ…………なんでなんだよぉ……。」


私は困っていた。


「はっはい。」


私に向かって喋りかけながら、机にもたれかかる…………


「みんな彼女がいるのに、僕だけいないし……。初めてできた彼女には、あっちから告白してきたくせに浮気されちゃうしぃ!!」


この酔っぱらいに。


「はい。」


お酒が届いてから数分も経っていない、


「うぅ………。ふぶきちゃん飲んでるぅ?」


そのお酒にも一回しか口をつけていない、


「のっ飲んでますからもう少し落ち着いてください。」


しかもその一回も舐めただけだ。


「ヒッ………そうだねぇ……………。ふぶきちゃんかわいいもんねぇ……。」


なのに彼は、そんなことを口走るほどに酔っていた。


「ふぇっ!!?」


私は彼のその言葉が酔いからくる一時的なものだとわかっていても、照れてしまう。

うぅ、長年男の人と話してこなかった弊害がここでぇ…………。


「ゥッグ………やっぱ彼氏とかいるんでしょぉぉ?」


腕枕もせずに、机にグダっと突っ伏してそういうしゅんすけさん。

飲んだことはないけど、私でもそんな舐めた程度でここまで酔っ払わない自信があります。


「いっいませんよぉ。」


私は、立て続けに来る恋愛の話題に戸惑いつつも、恋バナというものをできていることに少しだけ喜びを感じる。

…………まぁ、普通恋バナの相手は女の子だろうけど。


「マジ?こんな可愛くて清楚で、性格もいいのにぃ?」


いきなりガバっと体を起こしてしゅんすけさんが私に近付いてくる。


「あわわ」


私はすぐそこになった彼の顔と、いきなりのびっくりで変な声を出してしまう。


「うっっハハ!!なにそれかわいぃ!!」


私を指差して「かわいい」を連呼するしゅんすけさん。


「…………。」


私は率直な褒め言葉に固まってしまう。


「あぁごめんってそんな怒んないでよぉ!!」


それを見て怒っていると感じたのか、彼は机に手をついて頭を下げた。

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