第7話 泥酔ーVer.しゅんすけー
「うぐぅ…………なんでなんだよぉ……。」
しゅんすけのもとにお酒が届いてからまだ一分も立っていないころ。
「はっはい。」
彼は完全に、酔っていた。
「みんな彼女がいるのに、僕だけいないし……。初めてできた彼女には、あっちから告白してきたくせに浮気されちゃうしぃ!!」
机に突っ伏して初対面の女性にそう愚痴る姿は誰がどう見ても酔っ払いのそれだった。
「はい。」
その酔っぱらいの被害を最も受けているであろうふぶきは、意外にも冷静だった。
「うぅ………。ふぶきちゃん飲んでるぅ?」
自らのまだ一口しか飲んでいないグラスを掲げ、彼女に絡むしゅんすけ。
「のっ飲んでますからもう少し落ち着いてください。」
絡まれたふぶきは甲斐甲斐しくも、お水を片手に彼を宥める。
「ヒッ………そうだねぇ……………。ふぶきちゃんかわいいもんねぇ……。」
ガバっと勢いよく起き上がったしゅんすけは回らない呂律でいう。
「ふぇっ!!?」
酔っ払いのそんな戯言も、男性免疫皆無のふぶきにはクリティカルヒットのようで、彼女は頬を赤く染めて、驚きと照れの混じった声を上げる。
「ゥッグ………やっぱ彼氏とかいるんでしょぉぉ?」
そいつぁ羨ましいぜと叫びながら再び机に突っ伏すしゅんすけ。
たったの一口。しかもペロッと舐めた程度でここまで酔えるんだから彼もある意味では幸せなのかもしれない。
「いっいませんよぉ。」
ふぶきはされなれない質問に戸惑いつつも、何故かちゃんと答えていた。
「マジ?こんな可愛くて清楚で、性格もいいのにぃ?」
再度体を起こして、机に手を付き、彼女に詰め寄りながら聞くしゅんすけ。
「あわわ」
いきなりの急接近に、ふぶきは変な声を上げながら、すっと遠ざかった。
「うっっハハ!!なにそれかわいぃ!!」
その様子を指差して笑いながら、しゅんすけは「かわいい」「かわいい」と連呼する。
「…………。」
「あぁごめんってそんな怒んないでよぉ!!」
黙り込むふぶきを見て怒っていると解釈したしゅんすけが机に手をついて深く頭を下げる。
誠実なようでいて、その手はぶるぶると良いで震えているので、全くといって締まりがつかない。
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