「ダメ」は言わない

 私が初めて注意されたことがこれでした。


 その時、子どもがものを投げていたんですね。

 そこで私は「ものを投げることはダメだよ」とその子に言ったんです。

 怒って言ったわけではありません。ただ普通に諭すように言いました。

 そうしたらそのあとに正規の方に言われました。


「ダメという言葉は使わないでほしい」


 ダメという言葉はその子を否定する言葉なんですよね。

 ものを投げてしまったその子は、いけないことだと思ってやっていませんでした。

 なのに急に否定されたらびっくりしますよね。

「ボクはダメなの?」「悪いことしたつもりないのに」

 きっとそんな風に思ってしまうと思うんです。


 そこで私は考えたんです。

 逆に私はどうして「ダメ」といったのか。

 もちろんそれは「投げるのをやめてほしかったから」です。

 ならば「ダメ」という言葉じゃなくても、要はやめさせればいいんです。

 なので私はそれから「ストップ」というようになりました。


 まずは今やっている行為をやめさせたい。

 ならば「ストップ」というのが一番いいのではないかと思いました。

 それでそこからお話をするんです。今やっていたことはよくない事だったと。


 きっと子どもが何か良くないことをやっているとき、みんなとっさに「ダメ」という言葉が出てきてしまうと思うんです。


 だって大人ならわかるから。


 それが「よくないこと」だって。

 だから手っ取り早く「ダメ」という言葉が出てきます。

 私も本当に無意識に発していました。

 それからは私は必ず「ストップ」というようになりました。

 あれから一度も「ダメ」という言葉は子どもに使っていません。


 大人の使う言葉にも理由があります。

 今回は「その行為をやめさせたい」というのが一番の理由でした。

 その条件が満たされるのならばほかの言葉でもいいわけで。

 そうやって柔軟に考えていくことってすごく大事なんだなって思いました。


「ダメ」とは言わない「ストップ」という。


 言葉っていいかえることができるんです。

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