第3話 良太郎が呟いた意味

 「ただいまー。」


恵太郎は自宅に帰ってきた。


「兄貴おかえりー。」


気怠げにリビングから出迎える声を発したのは恵太郎の2歳下の妹の紗南さな

恵太郎と違い、端正な顔立ちの華奢な美少女である。

まあ母の久美くみが沖縄出身であるが故ではあるのだが、元々恵太郎も顔は濃い部類だ。

である。


「紗南、母さんは?」


「買い物。」


「じゃあ部屋行ってる。」


「ん。」


兄妹仲は良くも悪くも無いのだが、お互い思春期ではあるので交わす会話はそれくらいだ。

お互い干渉しないのが2人の間にある。

恵太郎は自分の部屋に行くなりパソコンを開き、好きなアニメ「紅焔のイシンヴァリア」を観ることにした。


(乃木さん……コスプレ……火椎リンネ……うーん……似ても似つかない……良太郎の言っていた意味ってなんだったんだろう……僕には分かんないな……)


アニメ鑑賞をしつつ、今日の凛花の違和感に頭を悩ませていた。



 一方、凛花はというと。

アニメショップで買ったラノベを見ていた。


「このキャラは……こんな格好してるんだ……へー……」


部屋でブツブツと呟きながら、ノートに製図をしていく凛花。

ヒロインのイラストだろうか、キャラの3サイズ、髪色及び髪型、服装をそれぞれ事細やかにメモしていく。


「……までには完成させないとな……これで栗巻くんが来たら最悪だよ……来ない事祈ろ。」


恵太郎に弱みを握られている(本人がそう思っているだけ)と感じていた凛花は、製図後に買ったラノベを夕食の時間まで読み耽っていたのだった。

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