第19話 あれから11年!ですわ

『エレセイ』のヒロイン・エレノアとの衝撃的な出会い(見守るはずが、ガッツリ介入してしまったとも言うわ)から、11年の歳月が経ったわ。


私は、14才になったの。モブだから成長しても美少女にはならないだろうと、たかをくくっていたけど、それが自分でも驚くほどの美少女に大変身よ。まぁ、ハンフレイパパとマリアンヌママの娘ですからね。あ、もちろんスタイルは抜群に良いし、顔も整っているわ・・・けど、誰に似たのかしら、もう少し背が欲しかったわ。

あと、この世界って凄いのよ・・・会う人、会う人、みんな美形なのよ。このゲームのモブたちを作った、前世のクリエイターの人たちに感服するわ。だから、自分では美少女だと感じたこの姿も、この世界では普通のうちに入るということよね。


あ!あの治癒魔法なんだけど、腕を生やすってことはかなり難しいらしいの。それで、この国でそれが出来る人って、2・3人しかいないみたいのよ。そして、その内の一人が、エレノアだったの!あの時、王都に呼ばれたのって、魔法を教えるために派遣された人が、足をスパッと切断しちゃう大ケガをしたのを、エレノアが治癒魔法で足を生やしちゃったからなんですって。その数日前に、大ケガした勇者の卵に治癒魔法をかけたのを、一緒に派遣で来ていた人が見ていて、頼みこまれたらしいのよ。

それから私とエレノアはハードだったわ・・・その治癒魔法をみんなに教え回ったのよ。そのせいで、教え終わるまでエレノアがずっと王都に居ることになって、領地に帰れなくなったの。そしたら、エレノアはホームシックになっちゃったのよ。それを、なんとかしてあげたい!と思って考えていたら、あのネコ型ロボットの秘密道具を思い出したのよ!あれよ、あのドアよ!それを元に、ナッターズ侯爵と転移魔法を開発しちゃったの!!どこでも、行き放題よ!


あとは、あとは、私に弟と妹が出来たの!もう、可愛いのなんのって!!弟のアイザックは今年10才で、妹のステラフォーブは今年7才になるのよ。もう聞いた時は、嬉しくて飛び跳ねてしまったわ。そしたら、その時期はベビーラッシュで、エドワードとジュリアンナのところは10才と7才になる男の子が、アンドリューのところは8才になる女の子が、デュランのところは9才と6才になる女の子が、ルーカスのところは10才と8才になる女の子と7才になる男の子が、エレノアのところは7才になる男の子と女の子の双子が産まれたのよ!

『エレセイ』のゲームの内容だと、ルーカスは一人っ子のはずだったのよ。それで、王妃様になかなか次の子が授からなくて側室を貰うことになり、ルーカスが7才の時に腹違いの弟が産まれるはずだったの。私の所もそうだけど、みんなの所もそう、弟や妹たちは産まれる予定はなかったわ。『エレセイ』では、うちのフォーサイス家とベネディクト家は再婚しなかったし、アンドリューには兄が一人、デュランは一人っ子で、エレノアは学園に来てから年の離れた弟が産まれたと言っていたわよね。

ま、『エレセイ』の世界とはかなり変わってしまったけど、兄弟が増えるって、家庭の中が明るくなって、楽しくて嬉しくて良いことだわよね。


そんなこんなで、エレノアの領地にみんなで遊びに行ったりしていたのだけど、勇者の卵とは会えなかったのよね。エレノアが言うには、もっと強くなるため修行に出ると言って、彼は魔法の強化練習が終わってから直ぐに、旅に出たらしいの。もう、彼女が王都から帰るたび、距離を置かれていったらしいのよ。これ以上力の差を広げられるのが、耐えられなかったのだと思うわ。彼、勇者になれるのかしら?心配だわ~。


そして、今日は学園の入学式よ。


私にとってジュリアンナもエレノアも親友だもの、もうこの世界は『エレセイ』のような最悪な流れにはならないはずよ。彼らが普通に青春して恋愛していくのを、1番近くで見れるなんて、最高だと思わない?そうよね、そう思うわよね、最高だわよね!


「ごきげんよう」


「ごきげんよう」


挨拶が飛び交うわ。


私の隣には兄のカーティスがいるから、先輩後輩関係なく沢山の人から声をかけられるわ。穏やかで優しいから、みんなに慕われているのよ。元々顔は整っていたけど、成長するにつれてハンフレイパパに似てきて、更にイケメンになったわ~。でも、主要人物らの方々には、敵わないのよね~。


「ルーナ、カート、ごきげんよう」


エレノアが私たちを見つけて、にこやかに声をかけて来てくれたの。


「「エレナー、ごきげんよう」」


それに対して、私たちは挨拶を返したわ。ふっふっふ~、みんなで言葉遣いも特訓したのよ。これは表向きの言葉で、気の許せる人たちだけだと元に戻っちゃうのだけどね。


「エレナー、今日も可愛いわ~」


「ルーナの方が、とても可愛いわ~」


その可愛いは、ミニマムだからってことよね・・・未だに子供に間違えられるもの・・・。


エレノアはね、すっごい美少女になったのよ!『エレセイ』のエレノアとは違って天真爛漫ではなくなったけど、明るい性格はそのままで、貴族らしい上品さが身に付いた美少女になったのよ~。健康そうな肌。紅は塗っていないのに濃いピンクの唇。キュルッとした真ん丸な大きな瞳。背は私より少し大きいくらいで、メリハリのある引き締まった美ボディ。ハーフアップのふわっとしたピンクベージュの髪が、男心を擽るように揺らめいているわ。男じゃないけど、私も擽られるわ~。


「ルーナ、エレナー、カート、ごきげんよう」


「皆さん、ごきげんよう」


「「「リア、エド、ごきげんよう」」」


今度は、ジュリアンナとエドワードがいらっしゃったわ!二人ともこんなに立派になられて・・・なんて、頻繁に会ってますけどね。

ジュリアンナも『エレセイ』の世界と違って、すっごい美少女になったのよ~。サラサラの青みがかったプラチナブロンドの髪と、パッチリとしたネコ目の大きな瞳が神秘的な感じなの。スタイルもね、すっごいのよ~。お胸さんがかなりのボリュームなのに、ウエストがキュッと細くて、背も高めだからモデルさんみたいなの!ボンッキュッボンッよ!!一般の男は、メロメロになるわ~。男じゃないけど、私もメロメロになっちゃうわ~。

エドワードもクールな美形に成長したけど、『エレセイ』のような冷たい感じにはならなかったわ。良かったわ~。それがもう、イケメンとかじゃなくて、キレイ!なのよ。すらっと高身長なんだけど、ヒョロッという感じじゃなくて、ちゃんと筋肉は付いているの!流石、攻略対象者の一人だわ~。でもなんか、『エレセイ』とちょっと違う感じに成長したのよね。


「リア、相変わらずお綺麗だわ!」


「ルーナこそ、いつも可愛らしくて羨ましいですわ~」


もう、自分がミニマムだってことは、分かってますわよ~。


「ごきげんよう、みんな!ここにいたのか!?」


「ん。みんな、ごきげんよう」


アンドリューとデュランだわ。


「アンディとデューか、ごきげんよう」


「二人とも、ごきげんよう」


「「「ごきげんよう」」」


アンドリューは、脳筋にはならなかったわよ!凛々しさや男らしさは『エレセイ』と変わりないけど、人の言うことはちゃんと聞くことが出来るし、自分勝手な思い込みもしないし、ちゃんと成長してホッとしたわ。姿も、『エレセイ』の時は無駄に鍛えてムキムキだったけど、今はマッチョというよりは細マッチョな感じになったわ。顔もキリッとした男臭い美形に変わったのよ。驚きよね~。

デュランは、まともにしゃべるようになったの!性格も姿もかなり変わったわ。ま、『エレセイ』の時は殆んど前髪で顔を隠していたけど、顔色が悪くて陰気な感じや猫背とか、栄養失調になるのではという感じの細さとかが無くなったのよ。顔はもちろん、エドワードとは違った中性的な美形になったわ。男女問わず大人気なんだけど、私たち以外には無関心なのよね~。


「ルーは、一緒じゃなかったの?」


「あぁ、入学式の挨拶で、スピーチするための準備で忙しいらしいぞ」


エドワードが、ルーカスのことをアンドリューに聞くけど、王族の彼は大変忙しいみたいだわ。


「そうか、大変だな・・・リア、私たちは自分の教室に寄ってから式に向かうが、入学式の会場へルーナと二人で行けるかい?」


「はい、大丈夫ですわ」


「じゃ、ルーナ。リアと一緒に行ける?」


「もちろん、大丈夫ですわ」


「なんか、心配だよ。今回は、何もヤラカシはしないでね。リア、ルーナを頼むよ」


そう、自信満々で大丈夫をアピールすると、カーティスが更に心配そうにリアに頼んだわ。解せないわ~。


「そうですわね、分かりましたわ」


そこで、納得して了承しないでほしいわ!ジュリアンナ!


「二人とも迷わないと思うけど、気を付けてね」


エレノアは、優しいわ~。


「ルーナは、毎回ヤラカシをするから飽きないな!」


「ん、良い魔法の研究が出来る時もある」


「リアを巻き込まないでくれよ」


アンドリュー、デュラン、エドワード、私は珍獣でもモルモットでも竜巻でもないわ・・・。

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