非戦闘員への空爆

 現代の戦争では非戦闘員(民間人など)への攻撃が顕著に多いと言われています。

 その理由の一つに、航空機の発達によって遠隔地への攻撃が可能となったことが挙げられるでしょう。つまり、空襲です。


 世界で最初の大規模な無差別の空爆は、スペインのバスク地方で行われた「ゲルニカ爆撃」(1937年)だといわれています。これは、スペイン内戦に干渉したドイツ空軍によって行われました。


 その後、空爆は常態化しました。

 空爆で非戦闘員を殺傷し家々を破壊することの主な目的は、敵国の戦意を喪失させることです。国民全員が戦争に協力する総力戦においては、相手の戦意を削ぐことが有効であり、これは戦争の早期終結のための効率的な手段だという理屈がありました。しかし実際には空爆の増加は、いたずらにたくさんの人々の命を奪い戦争を過激化させるばかりでした。


 有名な空爆は、日本軍による「重慶爆撃」、ドイツ軍による「ロンドン爆撃」、イギリス軍による「ドレスデン爆撃」、アメリカ軍による「東京大空襲」などです。


 重慶爆撃は日中戦争で実行された一連の作戦をさします。当初は中国の軍事施設を標的にしたものだと説明されましたが、実際には非常に多くの非戦闘員を犠牲にしたものだったので、無差別爆撃であるとされています。


 第二次世界大戦中、ドイツ軍とイギリス軍はひっきりなしにお互いの都市を攻撃していました。「ドイツ軍はイギリスに飛んで爆弾を落とし、イギリス軍はドイツに飛んで爆弾を落とす。これでは飛行機の燃料の無駄だから、それぞれ自分の国に落とせばいい」というジョークができたほどです。


 アメリカ軍は、太平洋戦争に勝ち始めて太平洋の制空権を掌握して以降、日本への空爆がしやすくなりました。東京大空襲は最大の例です。しかし飛行機から都市に爆弾を落とすことを空爆と定義するなら、やはり最も残酷な空爆は広島・長崎への原爆投下でしょう。


 第二次世界大戦後の戦争でも、空爆はたくさん行われてきました。ベトナム戦争、湾岸戦争、シリア内戦、アフガニスタン紛争などなど……。

 今では遠隔地への攻撃手段としてミサイルやドローンが登場していますが、依然として飛行機による空爆も有効な攻撃手段として使われています。

 非戦闘員への被害は拡大する一方です。

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