サクヤのバウムクーヘン

第17話 ヨーレローレロヒホー

　サクヤがドイツに降り立ったのは午後過ぎ。

　このまま目的地のザルツヴェーデルへ向かうと到着は夜になるのはわかりきっていた。目的地へ向かうのは明朝にして、今日はフランクフルトで一泊する予定だ。

　ドイツ三大都市の一つでもあり、ドイツ最大の金融都市。

　フランクフルトはドイツでは治安が悪い場所の一つ、とガイドブックに書かれている。理由は風俗店が多く、店員が店の前で客引きをしているからだとか。そんなことを書いたら、京都の河原町や三条、大阪の十三や北新地、道頓堀界隈は歩けやしない。

　フランクフルト中央駅の目の前、歩いて一分のところに建つハンバーガーホーフホテルが、本日の宿である。ベッドがあって、シャワールームはガラス張りで間仕切りされていた。広くはないが、新しくて清潔感がある。

　部屋に冷蔵庫があるのは便利だ。アメニティグッズはほとんど置かれていないが、旅慣れているサクヤは常に用意しているので気にならなかった。立地もそうだが、朝食込みで種類も豊富という点を考慮して選んだ、三つ星スーペリアホテルである。

　部屋に荷物をおいて、さて晩御飯をどこで食べようかと観光がてら、レーマー広場まで足を伸ばすことにした。