蜃気楼のような人

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蜃気楼のような人

●「あっつ」無意識にそうつぶやいてしまうほど、今日も朝から太陽が容赦無く照りつけていた。なんか頭がボーッとする。

昨日の夜も暑くてなかなか寝付けなかったんだ……


□『だっ、大丈夫ですかっ?』


●という声に「…あ…はい…」としか答えられず、意識は朦朧(もうろう)としていた。


□『はぁ〜良かった。あの、これっ!まだ飲んでないんでどうぞ!』


●あぁ、そうか。この暑さで倒れちゃったのか。ぼんやりと見える差し出されたスポーツ飲料でようやく現状が把握できた。


□『本当に大丈夫ですか?顔真っ赤ですし、それに熱中症には水分補給しないとですよ。えっと…実はあそこの自販機で当たっちゃって。さすがにペットボトル2本は重いなぁって思ってた所だったんですよ。だから遠慮しないで飲んでください。…あっ、会社から電話だ。ゆっくり飲んでくださいね。それじゃあ、お大事に』


●木陰に座り、貰ったスポーツ飲料をちびちびと口に含んだ。冷たくて体に染みる。優しい人がいるものだ。スポーツ飲料を飲み干し、ちゃんとお礼が言えなかった事を後悔しながら、先程指差していた自動販売機の前を通ると…

  

●「あれ?」この自動販売機には当たり機能は付いてなかった。

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