手堅い異能バトルに、独特のキャラ性を持つ主人公が面白い!

舐めていた――!
尖ったタイトル、開いた1ページにまるごと詰めこまれる一万以上の文字数……それらのファーストインプレッションから不安を感じながら読み進めてみたら、謎めいたとある企業の場面から、とぼけた味わいの主人公と、彼に仕事を持ってくるヤクザが登場してきてから面白さが止まらなくなる。
 時任が事前に情報屋の経歴を調べていたり、敵の動機も最初に説明されていたり、作品内の裏社会リアリティが確立していることが分かってくるからだ。

そして魅力的なキャラクター!
ブラック企業で働いた後、情報屋に転身した主人公の満田は、その強力な能力に反して草食系を極めたような「おとなしい」人物。その彼の持論にツッコミを入れる時任との掛け合いも楽しいのだが、彼が火を付けられる動機が「縄張りを侵された」なのがまたキャラ立ちしていて好き。

また、事務所の壁から飛び立つ蜜蜂や、びっしり目標に群がるシーンなど、絵面的なインパクトに優れたシーンも多々あり、実にエンターティメント。

満田の能力がかなり強くて便利で、かつあまり働きたくない主人公なので、彼がそんな能力を持っているとは知らない時任がいかに彼を動かすか。二人のやり取りがもっと見たくなるエンディングでした。

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